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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

日本シリーズの裏でロッテのチームリーダーは何を思う

 

苦しい1年を過ごした鈴木は2019年にどんな巻き返しを見せてくれるだろうか


 ついに日本シリーズが幕を開けたが、最後の舞台に立てなかった残る10球団の選手たちにとっては複雑な期間になる。クライマックスシリーズ(CS)にさえ進出できなかった選手たちであればなおさらだろう。

 ロッテのチームリーダー・鈴木大地はことあるごとにこう口にする。「最後まで野球がやりたい」。1年の締めくくりとなる日本シリーズ。そこまでプレーがしたい、ということだ。プロ野球選手であれば、誰もが思うことだろう。

 鈴木の2018年はチームとしても、個人としても悔しい1年に終わってしまった。井口資仁新監督のもと、新たな体制でスタートし、中盤戦まではAクラス争いに食らいついていたものの、夏場を迎えて急失速。終わってみればCS進出ラインの3位・日本ハムとは15ゲームの大差をつけられ、最下位・楽天にはわずか1ゲームまで迫られてのフィニッシュだった。

 4年連続で務めたキャプテンの肩書きが外れたものの、それはキャプテン制度が廃止されただけの話。鈴木が自他ともに認めるチームリーダーであることに変わりはなく、今季も3年連続となる全試合出場を果たしている。だが、打率.266、8本塁打、49打点と思うように成績がついてこなかった。しかも、シーズン戦半は打率が2割台前半に低迷するなど、長いにスランプに陥ってしまった。

 開幕から出遅れ、「これほど長く不調が続いたことはない」という泥沼にはまり、同じ内野をポジションとする井上晴哉中村奨吾といった同僚がブレークするのを横目に、「このままでは自分は終わってしまう」という焦燥感にも苛まれた。

 シーズン終盤になり、チームのCS進出が絶望的になっても、鈴木の闘志が変わらなかったのは「来年の勝負はもう始まっている」という思いに突き動かされていたからという面もあるだろう。

 レギュラーシーズンが終わると、井口監督は「来季は安田(安田尚憲)を開幕から使いたい」という意向を明らかにした。今季からコンバートされた同じ三塁を主戦場にする黄金ルーキーは、春季キャンプで鈴木が教育係を務めた相手でもある。

 その安田に、来季はポジションをおびやかされることになる。安田の存在については「いい刺激になっている」と話すが、「来年は横一線」という言葉には危機感もにじむ。

 今オフ、鈴木は秋季練習&秋季キャンプの参加を免除された。来季で30歳を迎え、中堅の域に差し掛かる鈴木に対して首脳陣が寄せる信頼の表れではあるが、果たして鈴木はどんな思いを持って、日本シリーズが開催されているこの時を過ごしているだろうか。逆襲の2019年に向けて――。

文=杉浦多夢 写真=BBM
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