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週刊ベースボール60周年記念企画

大洋・三原監督の思惑が裏目に?/週べ1964年10月5日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

スタンカ効果で南海優勝


表紙は左からサンフランシスコ・ジャイアンツ、村上雅則、W・メイズ、巨人王貞治


 今回は『1964年10月5日号』。定価は50円だ。

 9月19日、阪急が東京に敗れ、南海の優勝が決まった。南海の残り試合は22日の東京戦だけで、この日は休養日だった(結局雨で流れ25日開催)。

 ラストスパートの最大の功労者はスタンカ。9月にチームが挙げた5勝すべての勝利投手となり、対阪急戦では9勝1敗と圧倒的な強さを誇った(実は、9月の南海は最終戦も含め5勝9敗と負け越し。一度は引き離した阪急に追い上げられていた)。

たくましきスタンカの腕にぶら下がる南海ナイン


 セは大洋優勝と予期し、大洋─南海の日本シリーズを占う展望記事が出ている。ただ9月11日からの6連敗で息の根が止まったかに思えた2位阪神が9月20日、川崎球場での直接対決ダブルヘッダーに連勝。ゲームは1.5となった。

 雨模様の中で強行された2試合は、ともに勝ち投手はバッキー。初戦が完投、2試合目は8回から救援し27勝目。スタンドには視察に訪れた南海・鶴岡一人監督の姿もあった。

 実は、この日、連勝なら大洋の優勝決定。すでに祝勝会の準備もされていた。

 中止になってもおかしくない雨だったが、球団は試合をするかどうかの判断を大洋・三原脩監督に委ねた。

 三原は、「1日延びたら22日からの巨人2連戦との間に休養日がなくなる。それよりは一気呵成に」と思ったようだ。

 試合後の三原は意外と穏やかだった。

「すべて裏目でしたね。ここで一気に勝負をつけるつもりだったのに、うちにばかり悪かったな。22日からの巨人戦は成り行き次第です。きょうみんな投手を使ってしまったものな。今は森の石松や、うちは。バカだから斬られにいくようなもんや」

 この時点で大洋の残り試合は4つ。

 22、23日の巨人戦、24、25日の阪神戦だったが、雨のため23日が対巨人ダブル(後楽園)、26日が対阪神ダブル(甲子園)となった。

 一方の阪神の残りは、すべて甲子園で5試合だ。

 53本塁打の日本記録を達成し、あとは三冠王と思われた巨人・王貞治だが、そこからピタッと当たりが止まった。すでに本塁打、打点のタイトルはほぼ確定となっていたが、問題は打率。ジワジワ下がり、9月18日時点では中日江藤慎一に8厘差をつけられていた。

 残り試合を考えると、三冠王はほぼ絶望か。
 
 では、また月曜日に。

<次回に続く>

写真=BBM
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