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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

控え投手からプロの扉を開いたヤクルト5位左腕

 

先発として期待される坂本


 ドラフト5位ながら、思わぬ掘り出し物になるかもしれない。ドラフト会議でヤクルトが指名した、新日鐵住金広畑のサウスポー・坂本光士郎のことだ。広島・如水館高時代は3年時まで最速は135キロ、チームでは控え投手に過ぎなかった。

 それでも日本文理大に進み、地道なトレーニングが実を結び、球速が飛躍的にアップする。そして新日鐵住金広畑に進むと、最速はさらに増して147キロになっていた。細身の左腕はまだまだ発展途上。プロでさらに飛躍する可能性を秘めている。

 ドラフト会議の翌日、さっそく指名あいさつを受けた坂本は、チーム最年長のベテラン左腕・石川雅規の名前を挙げ、「プロでの目標は1年でも長くやること。石川さんにトレーニングのことや、投球について聞いてみたい」と目を輝かせていた。球団も球の強さとキレを高く評価しており、このスリークオーター左腕を先発で起用することを考えているという。

 11月6日に行われた日本選手権1回戦では、前年覇者のトヨタ自動車と対戦。坂本は2対1と1点リードの3回一死三塁、2番手としてマウンドに上がった。三塁ゴロの間に同点に追いつかれたが、8回まで5回2/3を無失点に抑え、流れを渡さない。チームの延長サヨナラ勝ちにつなげた。「自分のせいで負けることが多かったので、何か会社に残して出たいと思っていた」と坂本。

 この日は最速145キロの速球に加え、カットボールも冴えていた。社会人最後の大会で、さらに輝きが増している。まだ戦いは続くが、最高の置き土産を残し、プロの世界へ羽ばたきたい。

文=富田 庸 写真=BBM
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