11月1日から12日間、京セラドームで行われる第44回社会人野球日本選手権。決勝まで31試合、社会人の単独チーム日本一、2018年の年間王座決定戦が繰り広げられます。週刊ベースボールONLINEでは、社会人野球日本選手権にまつわるさまざまな情報や知られざる秘話を『JABA公式サポーター』が日替わりで発信していきます。本日は成田沙耶加さんです。 優勝を導いた団結力
日本選手権を制した三菱重工名古屋ナイン
延長13回の末、2対1でJFE西日本を下して三菱重工名古屋の優勝で幕を閉じた第44回社会人野球日本選手権。延長戦が史上最多の7試合という今大会らしい試合となりました。
三菱重工名古屋・小柳卓也
打率.429で首位打者賞に選ばれた小柳卓也選手は今年の都市対抗予選後、大変悔しい思いをしてきたといいます。
「今年1年、ずっと打てなかったのに監督は使い続けてくれました。それでも打てず監督に『四番から外す』と言われたときは、すごく悔しかったし、情けなかったです」
そう話す小柳選手は“ゼロから自分を作りなおさなくてはいけない”と考え、練習だけでなく私生活まで全面的に自分を変えていこうと決意。靴をそろえたり、ゴミを拾ったり、身の回りの細かいところまで徹底してきたそうです。
そして今大会、チームが優勝、自身も首位打者賞を獲得した際は「すべて報われた。このためにすべてやっていたので努力はムダじゃなかったんだな、と。でも、こういう活躍を常にできる選手になりたいです」と話していました。
三菱重工名古屋・山田敬介
また、決勝戦でファインプレー、勝ち越しタイムリーを放ちヒーローとなった山田敬介選手は優勝を「人生で最高の瞬間」と表現していました。
都市対抗予選の敗退からチームでミーティングを繰り返し、日本選手権に向けて心を1つにはしてきたそう。そして、日本選手権で1試合1試合重ねるごとに、チームはさらに1つになっていったと言います。
「ヒーローインタビューはたまたま僕がなっただけ。みんなで勝ち取った優勝。みんなに感謝したいです」と話していました。
左から三菱重工名古屋・服部拳児、勝野昌慶、西納敦史
「ごめん、頼んだ」
先発の西納敦史投手はそう言って後輩にバトンを託したと言います。
「いつもより緊張したし、ホームランを打たれたときは正直焦りもありましたが、後ろを信じていたので切り替えられました」と投手陣の厚い信頼関係を教えてくださいました。
試合前にも「今シーズンでチームを離れる勝野(昌慶、
中日ドラフト3位)のためにも優勝したい」と話していた西納投手。
「とにかく優勝できてうれしかった。本当は昨日150球投げていた勝野に投げさせたくなかったけど、やっぱり勝野の力は大きかった。これからは勝野が抜けたからと言われないよう、今回の経験を生かし成長していきたいです」と今後の目標も教えてくださいました。
勝野投手も今大会のインタビューで何度も「最後の大会でチームに恩返しがしたい」と話していました。
試合後、勝野投手にお話をうかがうと「恩返しできたと思います。チームのみんなもそう思ってくれたらうれしい」とホッとした表情を見せていました。
今後はチームメートの“1日でも長く活躍できるピッチャーになってほしい”という願いを目標にプロの世界へ旅立つそうです。
チームのために戦う、その思いを選手全員が掲げていた三菱重工業名古屋。その団結力が今回の優勝につながったのではないでしょうか。
準優勝のJFE西日本の選手たちも素晴らしい戦いを見せてくれました。
先発の河野竜生投手は「将来的にはプロに行きたいですし、上位でも指名されたい。でも今のままではダメ。精神面も、技術面も、もっと鍛えて今以上に信頼されるピッチャーになりたいです」と、すでに今後を見据えていました。
今シーズンはこの日本選手権をもって終了とやりますが、来シーズンはどの選手やチームが台頭するのか。今から楽しみですね!
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PROFILE
左から成田沙耶加さん、豊島わかなさん、田中優美さん/写真=BBM
なりた・さやか●1990年7月30日生まれ。山梨県出身。ニックネームは「さやくま」。野球観戦歴は家族の影響で幼少時から。趣味は料理とスポーツ観戦、特技は健康食作り。
とよしま・わかな●1986年12月14日生まれ。愛知県出身。ニックネームは「豊ちゃん」。野球観戦歴は小学生のころから。趣味はラーメン屋巡り、特技は猫の爪切り。
たなか・ゆみ●1992年5月21日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「ゆーみん」。野球観戦歴は高校1年生のころから。趣味は動物とたわむれる、特技は脚が柔らかいこと。