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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

村田修一がこだわったバッティングスタイルを次代へ

 

現役時代、右翼席に大きなあたりを数多くはなった村田修一


 現在発売中の週刊ベースボールに、巨人コーチに就任した村田修一氏の野球人生を振り返るインタビューの後編が掲載されている。聞き手は村田氏と同じ1980年生まれで、慶大野球部で四番を張ったスポーツアンカーの田中大貴氏。気心が知れた相手に村田氏は包み隠さず野球への思いを語っている。

 その中で特に力がこもっているように感じられたのが、「ホームラン、右の大砲であることにこだわりは?」という問いに対する答えだ。

 村田氏は「負けたくない気持ちはどこかに持ちながらやっていました。ほかの球団の右バッターもそうですし、反対方向にデカいホームランを打つことでは負けたくないと思って、練習していましたから。そこは引けないところはありました」と心情を吐露した。

 反対方向にデカいホームランを打つ――。

 村田氏のバッティングの特徴の一つだったが、そのスタイルを極めたのはある監督からのアドバイスからだった。

 横浜時代の2011年、週刊ベースボールで仁志敏久氏と対談を行っているが、そこで「プロ入り当初は苦しんでいたけど、自分の中で今のような自信を持てたきっかけはある?」と聞かれ、次のように答えている。

「困ったら右方向に打てと言われてからですね。プロ3、4年目のころに、牛島(牛島和彦)監督(当時)から、『反対方向に打てばピッチャーは困るから我慢して打ってみろ』と言われたんです。それで、ホームランばかりにこだわらず右方向へ打つように意識し始めてから、ちょっとずつ良くなっていきましたね」

 さらに仁志氏が「それまでは、とにかくホームランを狙うスタイルだったんだ」と合いの手を入れると、

「自分の魅力はホームランなんだから、“打ちゃいいだろう”という感じでした。打順も六番、七番で、ランナーがたまったときに打てばいいという使われ方をしていましたし。でも、大学時代に四番を打ちたいと思うようになってから、右方向に打つことなども意識し始めました」

 と言葉を続けた。

 村田氏は入団5年目の2007年から2年連続で本塁打王のタイトルを獲得しているが、まさにそれが右方向へのバッティングを意識した賜物だろう。

 今後は打撃コーチとして二軍、三軍の選手を指導していくことになるが、「右で反対方向に大きいのを打つ選手は、自分の手で育ててみたい」という。東京ドームの右打席から、右翼席に一発を何本もたたき込む打者がファームから育ってくる日が楽しみだ。

文=小林光男 写真=BBM
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