週刊ベースボールONLINE

プロ野球FA史

【FA史】8選手がFA移籍。大竹、片岡は巨人へ/2013年

 

1993年オフからスタートしたFA制度。いまや同制度は定着し、権利を得た選手の動向は常に注目されている。週べONLINEでは、そのFAの歴史を年度別に振り返っていく。

打棒にヒゲも復活した小笠原


広島から巨人へFA移籍した大竹(右。左は原監督)


 楽天が球団史上初の優勝、日本一に輝いた2013年オフ。その立役者で、シーズン無傷の24連勝という空前絶後の快挙を成し遂げた田中将大はポスティングでヤンキースへ移籍した。また、サブマリンの渡辺俊介ロッテに自由契約を志願してメジャー挑戦、レッドソックスとマイナー契約を結んだが、メジャー登板は果たせなかった。

 一方の国内移籍は、3件のみだった前年オフとは打って変わってFAが活発化する。11年オフの7件を上回る8件の国内FA移籍が成立。必ずしも移籍で成功するとは限らないFAだが、この8選手すべてが、多少の個人差こそあれ、新天地で結果を残す異例のストーブリーグとなった。

【2013年オフのFA移籍】
11月28日 小笠原道大(巨人→中日

11月29日 山崎勝己ソフトバンクオリックス

12月3日 久保康友阪神DeNA

12月4日 大竹寛(広島→巨人)

12月9日 中田賢一(中日→ソフトバンク)

12月9日 鶴岡慎也日本ハム→ソフトバンク)

12月9日 片岡治大西武→巨人)

12月18日 涌井秀章(西武→ロッテ)

 13年は22試合の出場に終わった小笠原がFAで中日へ移籍して、トレードマークのヒゲも復活。81試合に出場して、規定打席未満ながら打率.301をマーク、代打6打席連続安打の球団新記録など、主に代打の切り札として復活を遂げた。

 その巨人はFAで大竹、片岡と投打に補強。大竹は先発ローテーションを守って9勝を挙げ、片岡は126試合に出場して内野の要として機能した。ちなみに、大竹の人的補償で広島へ移籍した一岡竜司はリリーバーとして開花、片岡の補償で西武へ移籍した脇谷亮太も96試合に出場するなど存在感を発揮している。

 巨人は谷佳知も自由契約で古巣のオリックスへ放出し、中日を自由契約となった井端弘和を獲得するなど、相変わらずストーブリーグの“主役”ぶりだが、そんな巨人すら寄せ付けない勢いだったのが、もう一方の“主役”、いや“王者”ともいえるソフトバンクだ。

低迷チームの主力となった久保と涌井


 ソフトバンクは第2捕手の山崎がFAで去ると、日本ハムの司令塔だった鶴岡をFAで補強。中日で失速しつつあった中田も獲得した。正捕手を争った鶴岡は移籍3年目の16年に出場100試合を超えたものの、18年には古巣に復帰。一方の中田は7年ぶりの2ケタ11勝と新天地1年目にして復活した。

 さらに阪神からスターターのスタンリッジ、西武からはリリーバーのサファテ、そしてオリックスから強打者の李大浩を補強して、翌14年に2年ぶりの王座奪還。黄金時代は現在も継続中だ。ちなみに、オリックスへ移籍した山崎は新天地でも第2捕手ながら渋い活躍を見せ、チームの2位浮上に貢献した。

 この“両雄”と無縁のFAA移籍だった久保と涌井だが、このオフにFA移籍した選手の“両雄”といえる。阪神でFAとなった久保は、ベテランの三浦大輔が孤軍奮闘していたDeNAで先発ローテーションの軸となってチーム最多の12勝。西武でリリーフに回っていた涌井は出身地の千葉に本拠地を置くロッテへFA移籍すると、先発として15年に完全復活、5年ぶり2ケタ勝利となる15勝を挙げて、自身3度目の最多勝に輝いている。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング