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パ・リーグ6球団 2018年のMIPは?

 

チームで最も活躍したMVPとまではいかなくとも、印象深いプレーを数々見せ、必要不可欠な選手は誰だったのか? パ・リーグ6球団のMIPを見ていこう。


福岡ソフトバンクホークス



 日本一の胴上げ投手にふさわしい活躍ぶりだった。苦しいスタートとなった2018年シーズン。なかなか先発が勝ち切れない中、頼みの綱のリリーフ陣でも岩嵜翔サファテが相次いで離脱するという衝撃的な出来事が起きた。そんな厳しい状況を支えた中心人物の1人が、森唯斗だ。当初は不安定さを露呈し、森の9回起用を疑問視する声もあったが、選手の多くが暑さや疲れでコンディションを落とす夏場、輝きを増した。川島慶三の「お前はデニスじゃないんだから、完璧じゃなくていい」という言葉をきっかけに本来の思い切りのいい投球を取り戻すと、5年連続50試合以上登板を達成し、9月には日本記録となる7試合連続7セーブをマーク。日本シリーズでは5試合に登板し、3セーブを挙げた。サファテから「クイーン・オブ・クローザー」の称号を与えられる、立派な守護神だった。

埼玉西武ライオンズ



「僕は最も苦労した選手がMVPだと思うんです。だから、今季のMVPは森だと思います」と四番を打つ山川穂高は言った。確かに、森友哉の奮闘がなければ今季、10年ぶりの優勝は成し遂げられなかっただろう。プロ5年目の今季、主戦捕手として74試合にスタメンマスクをかぶって、我慢強くリード。盗塁阻止率も.373を記録した。自慢の打撃でも打率.275、16本塁打、80打点をマーク。サヨナラ安打も3本放つなど、勝負強さを発揮した。自らが目指す「打てる捕手」への一歩を踏み出した今季。さらなる成長が楽しみだ。

北海道日本ハムファイターズ



 新エースに成長した上沢直之とともに、ケガ人が続出した先発陣の柱となったのが新加入したニック・マルティネスだった。メジャー通算17勝の実績どおり、開幕から勝ち星を重ねた助っ人。10勝の数字以上に、25試合中17試合でクオリティースタート(パ・リーグトップ)を達成するなど、スターターとしての安定感は抜群だった。また豊富な経験と野球に取り組む真摯な姿勢も若手選手の良きお手本となり、献身的にチームを支え続けた。球団はもちろん残留交渉を進めており、契約がまとまれば来シーズンもチームの大きな戦力になってくれるのは間違いない。

オリックス・バファローズ



 声を絶やさぬチームの“元気印”がバットで鼓舞し続けた。第3捕手としてベンチ入りも、打力を買われて代打で起用されると、その期待に応える。まずは4月11日の楽天戦(京セラドーム)だ。1点ビハインドの9回裏二死二塁の場面で、代打で登場すると起死回生の同点打。6月2日の巨人との交流戦(京セラドーム)でも代打で出場した延長12回にサヨナラ打を放つなど、勝負強さを見せた。打力をアピールして、中島宏之が故障離脱した際は「五番・一塁」でスタメン出場を勝ち取った背番号23。働き場を求める男の奮起が、なかなか上昇気流に乗れぬチームを支えた。

千葉ロッテマリーンズ



 本職である二塁へのコンバートと井口資仁監督が掲げた“走塁改革”をきっかけに、その才能が弾けた。全試合フルイニング出場でリーグトップの守備率.993、329刺殺、486補殺をマークしてゴールデン・グラブ賞を獲得。さらに自己最多、リーグ2位の39盗塁と井口野球の体現者となった。本塁打は8にとどまったが、三番打者として長打の必要性も自覚している。“ミスター・ロッテ”の代名詞である背番号8に見合う、攻守走がそろったトータルプレーヤーへと成長を遂げた。理想であり、あこがれの選手像は井口監督の現役時代だが、その指揮官からは「トリプルスリーを狙える才能」と大きな期待を懸けられている。来季はそのトリプルスリーを現実的なターゲットとしたい。

東北楽天ゴールデンイーグルス


楽天・田中和基


 最下位に沈んだチームの中で、数少ない希望の光が、2年目の外野手・田中和基の躍進だった。打率.265は特筆すべき数字ではないが、日本人トップの18本塁打、21盗塁と、打撃と走塁面で光るプレーを見せた。今季は開幕一軍入りを果たすも、すぐに二軍降格。それでもこの時期に打撃開眼のヒントを得ていた。きっかけは「やってみい、大谷翔平打法や」という池山隆寛二軍監督の軽い一言だった。すり足打法にチャレンジすると、球を待つタイミングをつかみ、確実性がアップ。スイッチヒッターとして、同じ試合で左右両打席本塁打もマークしている。11月の日米野球ではサムライジャパンに初選出され、貴重な経験をプラス。来季の巻き返しへのキーマンとなりそうだ。

写真=BBM
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