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週刊ベースボール60周年記念企画

マッシー村上問題、泥沼化/週べ1965年2月15日増大号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

長嶋茂雄の結婚式


表紙は巨人長嶋茂雄結婚式



 今回は『1965年2月15日増大号』。定価は60円だ。

 披露宴に出席した東映・水原茂監督は「野球選手の結婚式としては空前絶後だ。前代未聞と言えるだろう」と語った。
 巨人・長嶋茂雄と西村亜希子さんの結婚式だ。相当数のページが割かれていたが、野球のネタではないので、ここでは詳しくは触れない。

 これまで何度か扱った南海・村上雅則の所属問題。鶴岡一人監督と、SFジャイアンツの間の橋渡し役となったジャイアンツのパートタイムスカウト、原田恒男の直接会談で一応の解決を見たのかと思ったが、その後、泥沼化していた。

 鶴岡監督は直接アメリカに渡り、原田も同席のもとジャイアンツと3度の話し合いを行うが、すべて決裂した。原田は、戦後GHQマーカット少将の副官として来日。実は鶴岡監督と旧知の仲で、大阪球場建設にも尽力した人物だが、多少の胡散臭さがあったようだ。
 今回の件では南海から自由契約証明を取る際、南海側に64年だけと言いながら65年の契約も含む契約書にサインさせたらしい。まあ、内容を確認せずサインしてしまう南海も南海だが……。

 鶴岡監督は「なんとか今シーズン帰国させてほしい」と依頼。これを拒否されると「来シーズン帰国できる新しい契約を結ぼう」と譲歩したが、ジャイアンツは譲らなかった。
「村上とのトレードに関する書類にちゃんとサインをしている。そして1万ドルのトレードマネーを受けている。法律的には村上の保有権はジャイアンツ側にある」
 対して南海側は
「1万ドルはトレードマネーではない。報奨金だ」
 とあらためて主張。ジャイアンツは「村上を返してほしければトレードマネーを払え」と1万ドルどころではない、とんでもない金額を提案してきたらしい。
 その後、相手担当者が休暇で旅行に行くからと交渉が中断。鶴岡監督は、
「いくら話し合っても進展船せん。ワシはもう帰る」
 と同行した南海の岩瀬常務を残し、帰国してしまった。
 一方、原田は会談後、
「南海にはもっと柔らかい態度でやってほしかった。会談では初めから終わりまでカッカしどおし、これでは話にならない。とにかく村上が今シーズンも、いや永久にジャイアンツの選手であることがはっきりした」
 南海の新山代表は、「原田氏が南海をだまし、さらには村上に策略して作ったもの。いずれも両者の合意のうえに立って取り交わされたものではない。したがって無効だ。裁判になっても勝てる自信がある」。

 村上自身は「ジャイアンツでやりたいと今でも思っているが、両親が南海でやれというので、どうしたらいいか迷っている」と語っていた。

 西鉄・西亦次郎社長が1月25日、経営の合理化のため二軍を撤廃したいと語った。ウエスタンからも離脱し、東京と大阪に野球学校を作り、そこで強化にあたりたいという。

 最後になるが、1月26日に野球評論家・飛田穂洲氏が死去。78歳だった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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