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川口和久WEBコラム

名球会「100・100・100」の次は2000奪三振か? 別に入りたくはないけどね/川口和久WEBコラム

 

200勝が基準でいいんじゃないの!


たまに俺の現役時代の写真も載せておきます。若いなあ、やっぱり



 先日、名球会のイベントが東京ドームであった。
 往年の大スターたちも、さすがにお腹周りもプレーもゆったりになっていたけど、お客さんはみんな喜んでいた。昔は名球会と言えばハワイでゴルフだったけど、こうやってプレーを見せるのは、すごくいいことだと思う。

 ただ、気になったことが1つある。
 名球会の入会資格が議論になっているという記事。要は、巨人の、いや前巨人か、上原浩治を入れるかどうかの話だったらしい。今季達成した「100勝100ホールド100セーブ」に対しての評価だね。確かに、すごい記録だと思う。日米にまたがって、134勝104ホールド128セーブ。「100・100・100」は日本球界で1人しかしてない。

 ただ、名球会に入ってもいない俺が言うのもなんだが、やっぱり「100・100・100」が名球会の基準じゃダメだと思う。
 俺は、通算139勝だけど、200勝、名球会入りにあこがれ、目標にした時期もあった。だから、その基準が下がっていくのが嫌なんだ。

 いまの継投野球の時代、シーズンの試合数が増え、現役生活も長くなっている打者の2000安打に比べ、200勝はハードルが高すぎるということだよね。
 でも、俺はそれでいいんじゃないかと思う。投手にとって200勝は大きな夢、エベレストとか高い山の頂上みたいなものさ。なのに、それに到達しなきゃと一生懸命登っていたら「あそこまで行かなくても、いまいる場所が頂上です」みたいな感じがしてならない。
 そこへの到達者が少ないから、その基準を下げるのはどうかと思う。少なきゃ少ないでいいんじゃないのかな。

 もう一つ、すべてで「100」をクリアしたらなのか、合計で「300」なのかもあるよね。
 合計なら俺の広島時代の先輩・大野豊さんは、148勝138セーブで、しかも江夏豊さんが抑えでいた78年から80年の3年間は中継ぎで148試合に投げている。当時ホールドはなかったけど、あれば当然、合計300は超えていると思う。「3つとも100を超えているからすごいんだ」と言うなら仕方ないけど、大野さんもすごい人だよ。

 まあ、200勝、250セーブ、あと仮に「100・100・100」まで入れたにしても今後もそうそう投手の名球会入りは出ないだろうな。打者はそれなりに増えていくだろうから、いまの流れだと、投手の新基準も次々できていくのかもしれない。奪三振2000とかね……あれ、そうすると俺も入るのか。別に今さら入りたくはないけどね。

早く長嶋さんに会いたい!



 今回の名球会に、病気療養中の長嶋茂雄さんは欠席したけど、実は11月11日、千葉県の佐倉であった「長嶋茂雄野球教室」に俺も講師として参加したんだ。中畑清さん、篠塚和典さんら長嶋門下生の重鎮たちの隅の隅だけどね。そのときも長嶋さんは欠席だったけど、みんなからいろいろな話を聞いてほっとした。

 夏場は確かに10キロくらいやせて大変だったらしいけど、ほぼ戻って、いまは元気にリハビリ中らしい。すでに左手でサインを書いていて、その前にあった篠塚さんのチャリティーゴルフのオークションにはサイン入り色紙を出してくれたと言っていた。

 前も書いたことがあるが、俺は子どものころ長嶋さんにあこがれて野球を始めた。投手だからと背番号1をもらったときも「俺は長嶋さんの3がいい」とゴネたくらいのファンだった。

 だから、広島をFAした後、1対1で食事をして巨人に誘ってもらったときは、ほんと夢見心地さ。「う〜ん、川口君には巨人もずいぶんお世話になったねえ」って言われ、「あれ、これ嫌味なのかな」と思ったのもよく覚えている。確かに巨人戦はほかのチーム以上に燃えて投げたからね。
 申し訳ないけど、巨人では今ひとつ結果を出せなかったが、メークドラマの96年にはリリーフとして少しは貢献でき、胴上げ投手に使ってもらった。長嶋さんには、いくら感謝してもしきれない。同じユニフォームを着てプレーできたことは、俺の誇りでもある。

 でも、長嶋さんも、もう82歳。俺だったらそのくらいの年になって、しかも体の一部が不自由になったら人前に出たくないと思うだろう。それが長嶋さんは違う。いま必死でリハビリをしているのも、元気な姿をファンに見せたいからだと思う。

 以前、長嶋さんが「いつも長嶋茂雄でいるのは大変なんだ」と言っていたと聞いた。確かに俺も、敵の監督として、味方の監督として、そして引退後もさまざまなところでお会いしたが、いつも国民的大スター「長嶋茂雄」だった。ニコニコとしてエネルギッシュでね。

 長嶋さん、無事退院され、またお会いできる日を楽しみにしています。
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