1993年オフからスタートしたFA制度。いまや同制度は定着し、権利を得た選手の動向は常に注目されている。週べONLINEでは、そのFAの歴史を年度別に振り返っていく。 巨人がFAで3選手を獲得
セ・リーグでは
広島が25年ぶり、パ・リーグでは
日本ハムが4年ぶりにリーグ優勝を飾った2016年。特に四半世紀も栄冠から遠ざかっていた広島は“カープ女子”などのフィーバーもすさまじかったが、そのオフのストーブリーグは比較的、穏やかだったと言えよう。
FA移籍の件数も前年から1件だけ増えた5件。ただ、そのうち半数を超える選手を獲得したのは“主役”の巨人だった。“もう一方の主役”
ソフトバンクはV逸もFAでの獲得はゼロ。巨人の3選手獲得はFA制度が導入されて以来、最多となる。
【2016年オフのFA移籍】
11月24日
岸孝之(
西武→
楽天)
11月25日
糸井嘉男(
オリックス→
阪神)
12月6日
森福允彦(ソフトバンク→巨人)
12月6日
山口俊(DeNA→巨人)
12月19日
陽岱鋼(日本ハム→巨人)
巨人はソフトバンクからリリーバーの森福、同じセ・リーグのDeNAからスターターの山口、そして日本一に輝いた日本ハムから主軸の陽を獲得したが、3選手とも巨人で数字を落とす結果に終わった。
陽は移籍後の2年は故障もあって2年連続でシーズン出場100試合に届かず。森福は移籍1年目こそ30試合に登板したものの、2年目の18年は2試合の登板に終わった。移籍1年目の6月にセ・リーグ史上初の継投ノーヒットノーランで移籍後の初勝利を挙げた山口は、あろうことか不祥事で出場停止処分。ただ、2年目の18年に復帰を果たすと9勝を挙げて戦力としても復活、7月27日の
中日戦(東京ドーム)では1四球のみの準完全試合でノーヒットノーランを達成する。通算100セーブを超えた投手のノーヒットノーランは史上初の快挙でもあった。
岸と糸井は変わらぬ活躍
一方、巨人へ移籍した3選手より先に去就が決まった岸と糸井は、不運や故障で快進撃とは言えないまでも、変わらない存在感を発揮している。
オリックスでFAとなって3チーム目の阪神へ移籍した糸井は出場こそ減らしたが、8月30日の
ヤクルト戦(甲子園)で自身初のサヨナラ本塁打を放つなどクライマックスシリーズ進出に貢献。18年には打率も3割に戻して、最下位に沈んだチームを支えた。
西武でFAとなって地元チームでもある楽天へ移籍した岸は、後半戦は好投も報われず連敗街道に陥って、最終的には8勝10敗と負け越したが、防御率2.76で2年連続2点台と安定感は変わらず。18年は11勝4敗と4年ぶりの2ケタ勝利で大きく勝ち越しただけでなく、3年連続2点台となった防御率2.72で最優秀防御率のタイトルを獲得。先発ローテーションの柱として以上に、若い投手陣の精神的支柱としても新天地を支えている。
写真=BBM