1993年オフからスタートしたFA制度。いまや同制度は定着し、権利を得た選手の動向は常に注目されている。週べONLINEでは、そのFAの歴史を年度別に振り返っていく。 にぎやかだった日本ハム
日本ハムの“二刀流”
大谷翔平がポスティングでエンゼルスへ移籍して大いに話題となった2017年オフ。メジャーへは同様にポスティングで西武の
牧田和久がパドレスへ。一方のFAでは
オリックスの
平野佳寿がダイヤモンドバックスへ移籍。FAでの海外移籍が成立したのは5年ぶりだった。
国内のFA移籍は前年と同じ5件が成立。16年オフは3選手を獲得して“貫禄”を見せた巨人は1選手の獲得にとどまったが、激動だったのは日本ハムだ。大谷は海を渡り、FAで2選手が流出して、1選手を獲得。ドラフトでは超高校級の
清宮幸太郎の獲得にも成功するなど、例年の巨人や
ソフトバンクとは趣の違う“主役”ぶりだった。
【2017年オフのFA移籍】
11月30日
増井浩俊(日本ハム→オリックス)
12月1日
大和(
阪神→
DeNA)
12月4日
野上亮磨(西武→巨人)
12月19日
大野奨太(日本ハム→
中日)
12月20日
鶴岡慎也(ソフトバンク→日本ハム)
巨人が獲得したのは17年に西武で2度目の2ケタ勝利を挙げた野上のみ。だが、巨人にFA移籍した選手の傾向は変わらず、野上も数字を落とす結果になってしまった。
一方の日本ハムでは、クローザーの増井と司令塔の大野がFA宣言。増井はクローザーの平野が抜けたオリックスへ移籍、新天地でもクローザーとなり、平野の穴を充分に埋める安定感を発揮した。
また、その日本ハムで司令塔に成長しながら17年は故障に苦しんだ大野が、正捕手が定まらないことが課題となっていた中日へ。だが、故障の影響も残るだけでなく、4月の死球禍など不運も続き、新天地の懸案を解消するには至らなかった。
FA選手が初のFA復帰
大野が抜けた日本ハムへFAで復帰したのは、かつてFAでソフトバンクへ移籍した鶴岡。FAで他球団へ移籍した選手がFAで古巣への復帰を果たす初のケースとなった。17年は出場機会を一気に減らした鶴岡は、古巣で復活。チーム最多の89試合でマスクをかぶるなど司令塔にも返り咲くと、勝負強い打撃でも古巣に貢献、18年オフには選手兼任で一軍バッテリーコーチにも就任して、ふたたび日本ハムの支柱となる。
阪神からDeNAへFA移籍した大和も新天地で復活。阪神では15年からユーティリティーとしての起用にとどまり、スイッチヒッターへの転向もレギュラー定着にはつながらなかったが、DeNAでは開幕後に右打ちへと戻して、わずかに規定打席には届かなかったものの、2年連続クライマックスシリーズ進出から一気に失速した新天地で野球巧者ぶりを発揮した。
写真=BBM