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2018シーズン総括

【2018ヤクルト総括】リーグ屈指の強力打線と頼れるリリーフ陣で2位躍進

 

投手力 PITCHING REVIEW


クローザーの石山は71試合登板とフル回転


 先発投手の勝ち頭はブキャナンで10勝。2ケタ勝利投手はこの右腕のみだった。先発防御率4.32はセ・リーグ最下位だが、救援防御率3.84は同2位。先発が点を取られても打線が援護し、終盤の粘りで勝ちを拾う図式が浮かび上がってくる。

 特筆すべきはクローザー・石山泰稚の成績だ。キャリアハイとなる71試合に登板して3勝2敗、35セーブ、防御率2.08という数字を並べた。また、8回に定着した近藤一樹は今季のリーグ最多、そして球団新記録の74試合登板。獅子奮迅の働きでチームに貢献し、42ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得している。

 ほかのセットアッパーも風張蓮がキャリアハイの53試合に登板。大卒2年目左腕の中尾輝は前半戦、高卒2年目右腕の梅野雄吾は後半戦に実力を発揮した。若い力の台頭もあり、投手陣が一丸となり、チームを2位へと押し上げた。

攻撃力 HITTING REVIEW


 このチームの最大の武器となったのが、切れ目のない強力打線だ。山田哲人は打率.315、34本塁打、33盗塁で2年ぶり3度目となるトリプルスリーを達成した。シーズン中には自身初のサイクル安打。盗塁王のタイトルも手にしている。

 今季、7年ぶりの古巣復帰を果たした青木宣親の存在も大きかった。シーズンが進むにつれ、日本の投手に対してアジャスト。打率.327はチームトップの数字で、主に二番打者として打線のけん引役となった。

 主砲のバレンティンは出塁率の高い坂口智隆、青木、山田哲の後に座り、打点を稼ぎまくった。131打点は2013年に続く自己最多タイの数字だ。38本塁打をマークしながら、一発狙いのみではない。ときには右方向への巧打も見せ、走者をホームへ迎え入れた。

 さらには雄平川端慎吾西浦直亨と、下位打線にも勝負強い打者が存在した。

守備力 FIELDING REVIEW


 新たに青木が加入したことで、外野は最激戦区となった。春季キャンプ途中からは坂口が一塁守備にチャレンジし、この起用法が効果を発揮することになる。椎間板ヘルニアの手術から復帰した川端は、守備の負担を減らすために一塁起用もあったが、コンディション不良による欠場も多かった。

結局、坂口が一塁手として94試合に先発出場。これにより選手起用のバリエーションが増し、より攻撃的なオーダーを組むことに成功している。

 また、試合展開次第ではバレンティン、青木をベンチに下げ、守備固めや代走として田代将太郎上田剛史を起用する場面が増えた。上田は途中出場から延長サヨナラ本塁打を放つ活躍も見せている。

 チームの課題の一つだった正遊撃手には、5年目の西浦直亨が定着。バットでも勝負強さを発揮する場面もあり、今後の成長にも期待できそうだ。

[2018年の主な達成記録]
▼通算150ホールドポイント=松岡健一、5月12日DeNA(横浜)、プロ野球11人目、球団新記録

▼通算1000試合出場=青木宣親、4月17日対広島(呉)、プロ野球489人目

▼通算250本塁打=バレンティン、8月26日対DeNA(神宮)、プロ野球62人目

▼通算150本塁打=山田哲人、6月30日対阪神(神宮)、プロ野球168人目

▼サイクル安打=山田哲人、7月9日対巨人(静岡)、プロ野球66人目(71度目)

▼トリプルスリー=山田哲人、自身3度目

写真=BBM
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