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悲願の日本一へ!競い合って高みを目指す創価大ドラフト候補右腕トリオ

 

本格化する横一線の競争


2019年に最終学年を迎える創価大の右腕トリオはそろって「プロ志望」を宣言している(写真左から小孫竜二杉山晃基望月大希


 2019年、大学卒業後のプロ入りを目指す創価大の3年生右腕トリオがそろって、悲願の「大学日本一」を誓った。

 ドラフト候補の3投手は年内の活動を終え、解散前日の12月22日、大掃除の合間に報道各社の取材に応じている。

 最速154キロの杉山晃基(盛岡大付高)は1年秋に1敗して以降、2年春から今秋まで6シーズン、東京新大学リーグで18勝無敗。「そこに、こだわりはないです」と、あくまでもチームの勝利が最優先。それよりも、今年6月の大学選手権、11月の明治神宮大会で初戦敗退を喫した2敗のほうが、苦い記憶として残っているという。

 東京新大学リーグではMVP2度など各種タイトルを受賞。口にこそ出さないが、全国舞台で結果を残してこそ「本物」という思いが強い。杉山は「2人とはずっと競い合ってきて、意識しています」と、エースの自覚がみなぎる。尊敬するプレーヤーは川崎宗則(元ソフトバンク)。「人柄が好きです。自分は似てないですが……」と、お茶目な一面を見せるが、マウンドに上がれば豹変。好きな投手はダルビッシュ有(カブス)で、総合力の高いピッチャーを目指している。

 1年春から登板機会に恵まれてきた最速150キロの小孫竜二(遊学館高)は、高校3年時にプロ志望届を提出したものの無念の指名漏れ。大学3年間で投球術を学び、ゲームメーク能力には定評がある。東京新大学リーグ通算14勝で、今秋は5勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得している。

「2人とは普段から仲が良く、お互いアドバイスをして高め合っています」と言いながらも、「スライダーには絶対の自信がある」と、強気の姿勢が持ち味だ。しかし、あまりの責任感の強さが、試合では空回りすることもあり、冷静な視点で自分を見られるように、精神面の充実を図っている。好きな投手は高校時代から変わらず、大瀬良大地広島)で人間性を含めたトータルでリスペクトする。

 最速146キロの望月大希(市船橋高)は3人の中で最も長身の185センチ。高いポテンシャルがありながら、なかなか本来の力を発揮できずにいた。昨年春は腎臓の病気により手術、入院と半年以上の戦線離脱を経験。復帰へ向けてアピールするはずだった今年2月には、張り切るあまりに右ヒジを痛めた。もう一度、体と向き合って復帰した今春は最優秀防御率のタイトルを獲得し、飛躍のきっかけをつかんだ。

 今オフは順調にトレーニングを消化。「来春には150キロ。常時140キロ後半を投げる」と意気込み十分。3年秋の時点では実績で上を行く杉山、小孫といる先発投手の枠に食い込んでいこうと必死だ。

 創価大・岸雅司監督の育成方針として、全投手陣に「先発完投」を求めている。これまでのキャリアは抜きにして、3人による横一線の競争が年明けから本格化していく模様だ。

継承されている先輩の取り組み


 3人が大学へ入学した16年、3学年上には田中正義(ソフトバンク)、池田隆英楽天)がいた。プロ注目投手を擁した創価大は多くのスカウト、メディアから注目され、かつてないフィーバーだった。3年前を回想する小孫は「(先輩たちは)雰囲気あり過ぎ(苦笑)。すごいオーラでした」と言えば、杉山は「話しかけられなかった……。見て感じるものがあった」と語った。田中はすべて野球中心の生活で、ストイックなまでに白球と向き合ったのは、あまりにも有名なエピソード。栄養学やトレーニング法など、先輩から伝えられた取り組みが後輩たちにも継承されている。

 3人とも2019年のプロ入りを目指しており、杉山は「入学したときから1位で行きたいと思っていた。3人でプロ入りして、今度はその舞台で競い合えたらいい」と高い目標を掲げる。小孫も「1位で行きたい。僕たち3人で(大学球界を)盛り上げていきたい」と語れば、望月も「高校の先輩である岩嵜さん(岩嵜翔、ソフトバンク)があこがれ。自分もプロに行きたい」と目標設定をした。創価大は右の大砲である山形堅心(明徳義塾高)もプロ志望を明言しており、投打とも充実の戦力を誇る。

 創価大はこれまで大学選手権、明治神宮大会を通じて4強が最高成績である。来年で就任36年目となる岸監督は、八王子市内の合宿所内で部員たちと寝食をともにしている。

「学生を喜ばす。学生を勝たせる。学生だけに目を向けてきた。日本一になっていないし、やり遂げた感はない」

 63歳の熱血漢の情熱は高まるばかりだ。プロ注目右腕3人を擁して、19年こそは準決勝の壁を突破し、悲願の大学日本一のタイトルをどん欲に狙いにいく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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