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2018シーズン総括

【2018巨人総括】球団ワースト4年連続V逸で高橋由伸体制に幕。光明はエースと四番打者

 

攻撃力 HITTING REVIEW


史上最年少で3割、30本塁打、100打点を達成した岡本和真。頼れる四番に成長した


 優勝した広島に200得点差をつけられた2017年に比較すれば打線、得点力は改善された。中でも高卒4年目の岡本和真の覚醒を無視することはできない。前年までわずか1本塁打で、“未完の大器”と呼ばれていたが、オープン戦で打点1位と片りんを見せると、そのまま阿部慎之助との争いを制して開幕スタメンを奪取。6月2日のオリックス戦(京セラドーム大阪)からは読売巨人軍第89代四番打者に座り、打率.309、33本塁打、100打点は立派。史上最速での『3割、30本、100打点』をクリアしたレギュラーシーズン最終戦では、そのバットでチームの3位を確定させるなど、頼れる四番に成長した。

 打率.345で首位打者を最後まで中日ビシエドと競った坂本勇人、84打点のC.マギー、打率.290の長野久義らが打線の中心。ただし、ベンチを含め淡白な攻撃が多く、相手の脅威にはなり得なかった。

投手力 PITCHING REVIEW


 セ・リーグでは唯一の防御率3点台と、数字だけを見れば優秀だが、その実、高橋由伸監督は苦しいやりくりを余儀なくされた。先発では投手主要3冠を制し、沢村賞の7つある選考基準の項目をすべてクリアしたエース・菅野智之が1人だけ、別格の働きを見せたが、このほかにシーズンを通して先発ローテーションを守った投手は皆無。これでは勝率が5割に届かないのも仕方がない。

 特に前年まで2年連続2ケタ勝利を挙げて、今季は菅野に並ぶ左の軸と考えられていた田口麗斗が16試合の先発で2勝止まり。昨季14勝を挙げたM.マイコラス(カージナルス)の穴埋めもままならず、左腕の不調はあまりにも痛かった。

 昨オフに西武よりFA加入の野上亮磨の4勝、移籍2年目の吉川光夫の6勝は不満。7月27日の中日戦(東京ドーム)でノーヒットノーランを達成した山口俊が9勝を挙げ、最後は臨時クローザーを務めるなど奮闘したといえる。しかし、そもそも山口俊を後ろに回さなければならないほど人材不足(野上、吉川光も一時中継ぎへ)に陥ったリリーフ陣も敗因の1つだ。S.マシソン、A.カミネロはシーズン終了を待たずして帰国(それぞれ手術)し、上原浩治も故障をおしての登板(のちに判明)と本来の出来とは程遠く、経験ある西村健太朗山口鉄也らは故障や不調で一軍登板のないまま引退。それに代わる新たな戦力の台頭もなく、最後まで体勢を整えることは叶わなかった。

 後半戦から先発に今村信貴が台頭して6勝、育成出身のC.C.メルセデスが5勝を挙げて盛り返したが、3位を死守するので精いっぱいだった。

守備力 FIELDING REVIEW


 8月に骨折離脱をしたものの、開幕から二塁を守った吉川尚輝、その吉川尚離脱後に二塁に入った新人の田中俊太の存在は、来季に向けた明るい話題の1つ。これまで課題であった二塁手問題はいずれにしても決着がつきそうで、今オフの移籍選手を含めてセンターラインが強固に。2019年は岡本の三塁挑戦も楽しみだ。


[2018年の主な達成記録]
▼最年少300二塁打=坂本勇人、4月25日対中日(前橋)、プロ野球70人目、達成時29歳4カ月11日でプロ野球最年少記録

▼通算1000投球回=菅野智之、7月28日対中日(東京ドーム)、プロ野球350人目

▼通算1000投球回=吉川光夫、8月29日対広島(東京ドーム)、プロ野球351人目

▼無安打無得点試合=山口俊、7月27日対中日(東京ドーム)、プロ野球90度目、セ・リーグ41人目

▼無安打無得点試合=菅野智之、10月14日対ヤクルト(神宮)、セCS史上初

写真=BBM
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