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金子弌大と“オープナー”の可能性

 

12月20日に大阪市内のホテルで田中大貴氏と対談する日本ハムの金子弌大。新天地では中継ぎでの登板に興味を示していた


 12月23日、自宅がある北海道栗山町のイベントで、日本ハムの栗山英樹監督が、2019年度に“オープナー”を採用する可能性を示唆したと聞き、合点がいった。実はその3日前、このオフにオリックスから日本ハムへと移籍した金子弌大と、田中大貴氏(スポーツアンカー)との対談インタビュー(週刊ベースボール1月7・14日合併号&1月21日号)を行っていたのだが、新天地での役割について、気になる発言を聞いていたからだ。

 このとき、長くオリックスで担ってきた先発への想いについて聞かれると、意外にも「今の僕は、『(先発と中継ぎの)どっちをやりたい?』と聞かれたら、中継ぎをやりたいです」と答え、さらに「一般的にイメージされる1イニングやワンポイントの中継ぎというよりは、ロングもやるし、短いイニングもやる。いろいろなことをやってみたい」と続けている。

 今なおメジャーでのプレーを模索していることを公言し、「好きでよく見る」という金子のことだから、「一般的ではない」「いろいろなこと」の1つに18年にMLBで大きな話題となった“オープナー”も含まれていると考えるほうが自然だろう。

 そもそも“オープナー”とは、救援投手が先発し、1イニングないし2イニングを投げたあとに継投(2番手に本来の先発投手を起用)に入る戦術のこと。データ上、最も先発投手の失点が多い初回(つまり、立ち上がり)にショートイニングをMAXの力で入る救援のスペシャリストで封じ、2番手でマウンドに上がる先発投手が立ち上がりに相手上位打線との対戦を避ける狙いがある。

 金子は先発時代、「初回MAX」と表現し、立ち上がりに目いっぱい力を入れて、抑えることを意識的に行なってきたことも明かしており、「先があるので、あえてそうしないといけないところがあるんですが、中継ぎとして登板したとしたら、自然とそういう状態になると思います」とも話している。中継ぎや抑えの経験もあり、なおかつ先発経験の豊富。まだ日本では馴染みのない“オープナー”だが、好奇心旺盛な120勝右腕にこそ最適な役割かもしれない。

 冒頭のイベントで栗山監督は極端な例として開幕3連戦(しかも古巣・オリックス戦)での金子の先発3連投(もちろん1イニング限定)の可能性にも言及しているようだが、固定観念にとらわれず、良いものを積極的に取り入れる栗山監督ならその可能性もゼロではなさそう……。

 ちなみに、19年度から一軍の出場選手登録がこれまでよりも1人増えて29選手に拡大されることもあり、救援投手を1人多く登録しておくことで“オープナー制度”も導入しやすくなる。果たして各球団が18年にメジャーで流行した戦術をどうとらえているのか。19年の開幕が待ち遠しい。

文=坂本 匠 写真=BBM
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