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週刊ベースボール60周年記念企画

真夜中のハッスル/週べ1965年7月26日号

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、平日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

スペンサーはケチだった?


表紙は左から巨人王貞治、大洋・黒木基康



 今回は『1965年7月26日号』。定価は50円だ。
 東映・張本勲が無期出場停止となった。
 真夜中の赤坂で車の運転中、タクシーと衝突しかけ、そこから相手運転手とののしり合いに。最後、カッとなった張本は運転手に殴る蹴るの暴行を加え、さらには仲裁に入った人まで殴ってしまったのだから仕方ない。

 ほかに街中でケンカになりかけたのが、阪神・バッキー。7月3日の巨人戦(後楽園)で8回まで7対2のゲームで打ち込まれ、7対7の引き分けとなった試合後だった。
 球場から宿舎への帰り道。しつこく「バカヤロー」とヤジりたてたファンに対し、「いま言ったのが誰だ」と怒鳴って突進。大男のまさかの逆襲に、みな一目散に逃げた。
 通りすがりの婦人は、
「天下の公道で、こんなことをやられては戦後の進駐軍と変わらない。バッキー専用のMPがいりますよ」
 と憤慨していたが、天下の公道だから選手をいくらヤジってもいいというわけでもあるまい。

 グラウンド・ボーイ事件というのもあった。7月6日、中日球場のナイターで、ネクストから打席にバットを振りながら打者が向かっていたのだが、そのバットが前打者のバットを取り来たグラウンド・ボーイの頭を直撃した。
 ケガは大したことはなかったのだが、問題はこの少年が12歳だったこと。15歳以下の年少者が20時以降に働いているのは労働基準法違反では、となった。少年をグラウンド・ボーイに使っている球場は、ほかにもあったが、これをきっかけに一気にいなくなったようだ。

 ヒジ痛で離脱していた巨人・金田正一は6月30日から湿気の少ない北海道で治療中。7月6日からチームの北海道遠征があり、順調ならそこから合流する予定もあったが、ベンチ入りはしたものの、出番はお預け。

 なんと7月11日時点で2位に23ゲーム差で南海が独走中のパでは、阪急・スペンサーと南海・野村克也のホームラン王争いが激化。7月11日現在でスペンサーが23本、野村が21本となっていた。なお、スペンサーはこの時点で打率リーグトップ、打点は野村の53につぐ2位48と三冠王の可能性も十分あった。

 蛇足だが、阪急のスペンサーはケチさが記者の不興を買っていた。
 インタビューを頼むとすぐ「いくら出す?」。
 本人は、
「自分は生活向上のために野球をやっている。マスコミの謝礼金や本塁打マネーもあすの見返りに使っているんだ」
 と平然としていた。

 一方、セで打撃三冠のトップ、巨人・王貞治が7月31日のサンケイ戦でスパイクを受け、全治2週間の裂傷。間近に迫った球宴出場に黄色信号がともった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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