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週刊ベースボール60周年記念企画

巨人・金田正一の苦悩/週べ1965年8月16日号

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、平日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

村山実1年ぶりの巨人戦勝利


表紙は左から巨人土井正三広岡達朗



 今回は『1965年8月16日号』。定価は50円だ。
 ヒジを痛め3カ月、マウンドから姿を消して1カ月。巨人・金田正一が苦悩の中で心境を語った。

──現在の様子は。

「正直言ってな、いまのワシの体は穴だらけや。ヒジだけやない。肩や左ひとさし指も思わしくないんや。過去16年の投手生活の疲労がいっぺんに出てきよった。ヒジの治療だけじゃなく、ビタミン注射で疲労回復を図っているんや。もちろんヒジにも注射している。ほれ、これを見てくれ。注射の穴だらけや。注射の大きらいだったワシが9日間に43本も注射を打ったんだから、ワシの気持ちも察してもらえるやろ」

──マウンドに上がるのはいつ。

「はっきりいえん。ワシとしては完全に治らんかったら第一線では投げん」

──連続15年20勝が危うくなってきた。

「夢はあるよ。捨てられるもんか。しかしやね、あわてて登板してカンカンと打たれて、線香花火みたいになりたくない。今年だけの寿命じゃないんやからな」

 セは巨人が走り、それを阪神、大洋が追う展開。

 7月27日からは甲子園で巨人と2位阪神の3連戦があったが、阪神が2勝1敗と勝ち越した。

 2勝はバッキーと村山実の完封勝利。なお、村山の巨人戦での勝利は1年ぶりだった。村山は右手首の状態が今一つで従来の速球とフォークの組み立てができず、時に横や下から投げていた。下からフォークも投げていた、という。
 
 7月24日、巨人が7人と中日が4人の選手をウエーバーに出した。最低額は20万円という。

 この中には61年途中巨人に入団し、救世主となった村瀬広基、強引な獲得で社会人との関係断裂を生んだ中日・柳川誉造も含まれていた。
 村瀬は肩を壊し、この年はもっぱらバッティング投手をしていたという。

 彼らは他球団から声がかからぬ場合も65年分の給料は支払われ、シーズン終了とともに解雇となる。
 また、66年から外国人枠が3人から2人に減ることが決まった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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