チームが頂点に立つために重要な役割を担うのがキャプテンだ。自身の成績だけでなく、周囲に気を配り、チームが一丸となる雰囲気を作らなければならない。卓越したリーダーシップを持つ男たち。パ・リーグでキャプテン制を敷くのは日本ハム、ソフトバンク、西武、楽天の4球団だが、その他の球団の“キャプテン的選手”と合わせて紹介していこう。 北海道日本ハムファイターズ
2年連続で大役を託された。昨年の11月のファンフェスティバルで
栗山英樹監督からキャプテンに任命されたのは中田翔。今オフに海外FA権を行使せずに日本ハム残留を決めた主砲がグラウンド内外で重責を全うする。スタイルを変えるつもりはない。「昨年も自分が特別に何かをやったわけではなく、後輩と先輩たちにサポートしてもらった1年。みんなでより良いチームを作っていくために協力することが大事」と思い描くキャプテン像を口にした。それでも胸に秘める思いは熱く、「(2016年に優勝したときは)相手をつぶすくらいの気持ちだった。もう1度それくらいの気持ちでガムシャラに2019年は戦いたい」と見据えるのは3年ぶりの優勝のみ。覇権奪回に向けてキャプテン・中田が若いチームをけん引する。
福岡ソフトバンクホークス
“あのころ”を取り戻す。内川聖一にとって昨季は、通算2000安打を記録するメモリアルイヤーとなったが、シーズン通じてケガに泣かされた。ソフトバンク移籍後最少となる出場71試合にとどまり、打率も.242。記録達成とともに、キャプテンとして、四番としての責任を背負う中、満足とはほど遠い結果に、2019年シーズンに向け、自らを一から見つめ直すことは必然だった。理想とするのは、右打者史上最高打率.378をマークした2008年だ。「(08年が)一番楽に打っていた」。再びスムーズなバッティング感覚をつかんで、巧打者らしく、キャプテンらしく、チームを盛り上げる。
埼玉西武ライオンズ
2019年シーズンの主将が秋山翔吾外野手に決定したことが1月7日、球団から発表された。「辻監督からキャプテンに指名いただき、大変光栄です。チームとして、まずは連覇を目指してやっていきます。そして、昨年達成することができなかった“日本一”をつかみ獲るために、キャプテンとしてチームを引っ張っていきます」と意気込む秋山。これまでは17、18年に主将を務め、楽天へFA移籍した浅村を陰から支えていたが、今年から先頭に立ってチームを引っ張っていく。野球に対する姿勢は誰もが一目を置く。「挑戦」をテーマに掲げる今年、新たな役割を得て、野球人としてさらに成長する姿が楽しみだ。
オリックス・バファローズ
投手だけでなくチーム全体をけん引していく。今季から若月健矢が選手会長に就任。高卒6年目、23歳での大役就任は04年オフの近鉄との合併後では球団史上最年少だ。プロ3年目の2016年から一軍出場を増やすと、17年に初の開幕マスクをかぶり、昨季はキャリアハイの114試合に出場するなど、正捕手に成長。課題だった盗塁阻止率も17年の.255から昨季は.306に向上し、ベンチ、投手の信頼も得ている。だが、捕手の価値はチームの勝利数とイ
コールだ。目指すは勝利の二文字のみ。大きな期待を背負い、チームを勝利に導く。
千葉ロッテマリーンズ
昨季からキャプテン制度は廃止されたが、自他ともに認めるチームリーダーは2017年まで4年連続でキャプテンを務めていた鈴木大地で変わりない。今季からは選手会長に就任し、チームを引っ張っていく。しかし、30歳を迎える2019年は鈴木自身にとっても簡単な1年にはなりそうもない。昨季は三塁コンバートも攻守に精彩を欠き、打率.266、8本塁打、49打点と不本意な1年に終わったが、今季は2年目を迎える未来の四番候補、
安田尚憲が三塁のポジション奪取を狙っている。「勝負の年なのは分かっている」と危機感を露わにするチームリーダーの奮起に期待したい。
東北楽天ゴールデンイーグルス
2015年から4シーズン、主将を努めてきた
嶋基宏が退任する方向となった。現在、
平石洋介監督を中心に人選を進めているが、その筆頭候補に挙がるのが銀次だ。岩手・盛岡中央高から入団し、今季で14年目を迎える生え抜き選手。指揮官は「銀次に足りなかった部分。シーズン中から、もっとチームの中心に立ってほしいということは伝えてきたつもり」と、リーダーとなって選手としても一回り成長することを期待している。ほかには
今江年晶、
藤田一也、
渡辺直人といったベテラン選手の名が挙がる。それでも、今季31歳となる銀次が、若手とベテランとの橋渡し役になることがベストだろう。
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