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背番号物語2019

【背番号物語2019】「#8」80年代の最強ナンバーをFA丸が継承

 

背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。

「8」の黄金時代



 1980年代、チームの顔は「8」だった。広島山本浩二ヤクルトには大杉勝男広沢克己がいて、次々とアーチを架ける。象徴的だったのが巨人だろう。長嶋茂雄監督が退任、王貞治が現役引退。入れ替わるようにして81年に入団したのが“若大将”原辰徳だ。真新しいカラーテレビで躍動する「8」に、新しい時代の到来を予感したファンも少なくなかったのではないか。迎えた2019年、その「8」を継承したのが、黄金時代の広島からFAで巨人へ移籍した丸佳浩だ。80年代と同様に、新時代の到来となるか。

 丸のいた広島の「8」が唯一の永久欠番。“ミスター赤ヘル”山本浩二だ。長距離砲のイメージが強いが、若手時代は走って守れる中距離ヒッター。かつては万能タイプが多いナンバーで、巨人も高田繁までは器用な名手たちの系譜だった。パ・リーグは現在も、この傾向にあるチームが多い。70年代後半から山本が本塁打を量産するようになり、巨人でも高田から原が継承したことで、主砲のイメージが強くなる。彼らの現役引退とともに長距離砲のイメージは薄れていき、近年は再び巧打者が多くなってきている。

【12球団・主な歴代「8」】
巨人 白石敏男、高田繁、原辰徳、仁志敏久、丸佳浩☆(2019年〜)

阪神 山口政信山内一弘島野育夫片岡篤史福留孝介

中日 原田徳光(督三)、江藤慎一島谷金二大石友好大島洋平

オリックス ロベルト・バルボン早瀬方禧松永浩美藤井康雄後藤駿太

ソフトバンク 黒田一博河埜敬幸岸川勝也浜名千広明石健志

日本ハム 山本八郎島田誠、片岡篤史、金子誠近藤健介

ロッテ 山内和弘(一弘)、森徹有藤道世(通世)、今江敏晃中村奨吾

DeNA 桑田武、江藤慎一、辻恭彦谷繁元信神里和毅

西武 滝内弥瑞生船田和英鈴木健平尾博嗣金子侑司

広島 長持栄吉大和田明(明良)、山内一弘、山本浩司(浩二)★

ヤクルト 福田勇一、大杉勝男、広沢克己、武内晋一中山翔太☆(2019年〜)

楽天 礒部公一中島俊哉内田靖人、今江敏晃(年晶)☆
(☆は2019年、★は永久欠番)

広島とロッテの“ミスター”


広島・山本浩二


 ただ、山本よりも前に強打者がいなかったわけではない。プロ1年目から31本塁打を放って本塁打王と新人王に輝いた大洋の桑田武は、3年目の61年には打点王となり、長嶋の三冠王を阻む。64年から2年連続で首位打者に輝いて王の三冠王を阻んだのが中日の江藤慎一。初の両リーグ首位打者となったバットマンで、パ・リーグ2チームを経て、セ・リーグ2チーム目の大洋で桑田の「8」を継承した。

 そして、大毎“ミサイル打線”の主砲であり、“世紀のトレード”で阪神へ移籍、現役を引退する広島までの3球団で、19年間「8」を背負い続けたのが山内一弘(和弘)だ。のちの「8」に多大な影響を与えたレジェンドでもある。

 阪神では日本ハム時代から「8」の片岡篤史を経て福留孝介が受け継ぎ、移籍してきた名選手の系譜に。大毎の「8」はパワーヒッターの森徹らを経て有藤道世(通世)が背負って“ミスター・ロッテ”のナンバーに。広島で「8」を継承したのが若手時代の“ミスター赤ヘル”だ。

 一方、1ケタの背番号としては捕手が多いナンバーで、近鉄には梨田昌崇(昌孝)がいた。のちの監督が多いのも特徴といえる。

写真=BBM
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