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週刊ベースボール60周年記念企画

強心臓の池永正明、新人王当確/週べ1965年10月18日号

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

荒川博の失言


表紙は巨人王貞治



 今回は『1965年10月18日号』。定価は50円だ。

 ペナントレースはまだ終わっていないが、南海が独走優勝を飾ったパ・リーグでは、15勝のラインを超えた西鉄・池永正明の新人王が、ほぼ確実と言われている。
 入団以来、池永はマウンドで発揮する強心臓に加え、ビッグマウスもあって一部の記者からは「ナマイキ」と嫌われた。
 中西太監督は言う。
「若いくせに横着だ、ナマイキだと、池永は入団前から事あるごとに叩かれてきた。あれだけマスコミからなんやかんやと袋叩きされるようなことを言われたら、普通の人間だったら精神的にがっくりくるもんだが、池永は違っていた。一言も弁解せず、マウンドでしっかり結果を出す。大したもんや」
 一方、池永自身は「ナマイキだとか、思い上がっているとか、人の口はなんとでも言うものです。そんなこといちいち気にしていたら、ピッチャーなんていう、ヤジの真ん中に立つ仕事はやれません」
 大した19歳である。

 セの新人では、広島では、前年秋に電電九州から入団した外木場義郎が10月2日の阪神戦(甲子園)で史上41回目、球団史上初のノーヒットノーラン。しかも、これが自身のプロ初勝利だ。
「球場では何が何だか……。宿に帰ってあらためておめでとうと言われ、実感がわいてきました」
 と初々しいルーキーだった。

 また、初のドラフトを待つ新人予備軍では、センバツの優勝投手、岡山東商の平松政次、夏の準優勝投手、木樽正明の評判が高い。
 ただ平松は「僕はプロ向きではない。ノンプロの日石に入ります」ときっぱり。これは自信がない、だけではなかったようだ。親代わりだという関係者は、
「ああいう制度(ドラフト)をこしらえて、どこの球団に行くか分からんようなプロには、誰だって行かせたくないでしょう。金銭の問題ではないです」
 と話していた。

 巨人では王の師匠・荒川博コーチの評価が急降下。荒川の教えるダウンスイングが選手たちの信頼を失いつつあったことに加え、長嶋茂雄に対する失言もあったらしい。
 不振の長嶋に対し、ハッパをかけるつもりだったのか「長嶋の腰抜け野郎」とほかの選手の前で言ってしまったのだ。これで長嶋は明らかにむっとし、さらに長嶋を尊敬するほかの選手の怒りも買ったらしい。すでに荒川の母校早実関係者が多かったというサンケイ移籍のウワサもあったようだ。

 ともあれ、口は災いのもとである。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM


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