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選抜に出場する横浜高・及川雅貴が「菊池雄星二世」と呼ばれる理由

 

菊池雄星二世」と呼ばれているのが横浜高の153キロ左腕・及川雅貴である


 横浜高(神奈川)の153キロ左腕・及川雅貴(新3年)が「菊池雄星二世」と呼ばれる理由が、はっきりと分かった。

 2019年の年明け。現役時代にサウスポーだったあるNPBスカウトに、及川評を聞けば「10年に一人の逸材」と大絶賛した。

 それから約2週間後の1月25日、選抜選考委員会で及川を擁する横浜高はセンバツ甲子園出場を決めた。貴重な資料となる昨秋の関東大会は、当確ラインにあと一歩届かず8強。春日部共栄高(埼玉)との準々決勝では7回コールド敗退と、かなり厳しい立場で運命の日を迎えていた。

「関東・東京」の一般選考枠は6。最後の1枠をめぐり、難しい議論になったという。東京2位校・東海大菅生高との比較検討により、関東5位校・横浜高がラスト「6枠目」をつかんだのである。

 最終的な決め手は、選抜選考委員の見解によると、及川の投手としての高い能力だった。ストレートとスライダーの2つの球種で、三振奪取。高校No.1左腕を甲子園で見たい、と思わせる魅力を兼ね備えているのだ。

 プロ注目左腕が、当落線上からのサプライズ選出。そこで、すぐに思い出したのが、2009年の選抜選考委員会である。当時の東北の一般選考枠は2。通常ならば前年秋の東北大会の優勝、準優勝校の上位2校がすんなりと選ばれるものだが大逆転、準決勝で敗退した花巻東高が出場を射止めたのである。

 当時、花巻東高のエースは「全国屈指の左腕」と言われた菊池雄星(西武→マリナーズ)。今回の横浜高との共通点として、花巻東高も県大会を制していたことも、プラス評価となった。だが、菊池という大器が後押ししたことも、選出の一因としてあったのは確かだ。

「10年に一人の逸材」が、「10年ぶりの滑り込み」。

 これで2人が合致し、及川が「菊池雄星二世」と呼ばれる理由が明確となった。10年前の春、菊池は東北勢初の悲願まで、あと一歩に迫るセンバツ準優勝。選考委員の「期待」に見事、「結果」で応える活躍を甲子園で披露した。

 及川は1年夏、2年夏に続いて自身3度目の甲子園。主戦投手として臨むのは初めてであり、真価が問われる3年春となる。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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