昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 カギは金田ではなく、城之内
今回は『1965年11月8日号』。定価は50円だ。
週べ史上初のイラスト表紙だが、誰が書いたなどは説明がない。
巨人、南海の日本シリーズ展望が巻頭記事。
走り屋(巨人・
柴田勲、南海・
広瀬叔功)、三冠王(巨人・王貞治は届かなかったが、南海・野村克也は達成)、抑え投手(巨人・
宮田征典、南海・
杉浦忠)を擁する似たもの同士の印象もあった中、カギを握ると予想されたのが、巨人の左腕・
金田正一だ。
移籍1年目の金田は、左ヒジ痛による長期離脱はあったが、最後なんとか規定投球回に乗せ、最優秀防御率を獲得していた。
ただ、カムバック後、「シーズンは調整で日本シリーズに合わす」の雰囲気があったのが、34回無失点でタイトルの可能性が見えたため、無理をして規定投球回に届かせた面があり、終盤は明らかな不振に陥っていた。
南海の現場がむしろ警戒していたのは、
城之内邦雄だ。
関係者は語る。
「あんなタイプの投手はパ・リーグにはいないからね。尾崎(行雄。東映)も速いが、彼はステップする左足がオープン気味で打者から見やすい面もある。しかし城之内は三塁側に踏み込んで投げるからね。同じスピードでも打者への威圧感が違う」
5位に終わった東京は本堂安次の解任を発表。永田雅一社長は後任候補を南海の
鶴岡一人監督を第一候補、ヘッドコーチの
蔭山和夫を第二候補に絞った。
これは鶴岡が今季限りでの退任をほのめかしたことが前提にある。永田社長は、
「本堂監督は失敗だった。これからの東京は優勝を狙う強力チームかメッツのような人気チームにしなくてはならない。そのためにはぜひ鶴岡君を招きたいと思う」
と力説。鶴岡が南海監督残留なら蔭山を狙うという。
難しいのでは、という声が多かったが、「私は無理とは思わない」と強気だ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM