週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

井上晴哉120キロ! 飛ばしたかったら太ればいい?/川口和久WEBコラム

 

2018年の井上114キロ時代




 全豪オープンの大坂なおみはすごかったね。

 2年くらいかけ、筋量を落とさず10キロ減量したと聞いた。俺はテニスは門外漢だが、体のキレもアップしていたし、これからも、まだまだ勝ち続けるんじゃないかな。楽しみだね。

 ところで、突然だけど、野球選手は太ったほうがいいと思う? それともやせたほうがいいと思う?

 昔から特に自主トレやキャンプの時期に「体を絞った」「体重を落とした」という話をよく聞く。
 体のキレという点では、体は絞ったほうが確かにいい。ランニングを多くして絞ればスタミナもつく。
 ピッチャーや野手でも守備や走塁に関しては、そうやって体を絞ったほうが絶対にいいと思う。
 でも、バッティングはどうなのかな。

 俺が現役時代、山本浩二監督の時代だけど、小早川毅彦が体重100キロを超えてキャンプに来たことがある。浩二さんもコーチもみんな怒った、怒った。
「体を絞れ。それでは球が飛ばないぞ!」ってね。
 その後、小早川はランニングを増やしたり、食事量を落としたりして実際に体重を落としたんだけど、そうしたら打撃練習でボールがまったく飛ばなくなった。
 いま考えれば、減量で筋量も落ちちゃったんだね。コーチも今さら「太れ」とは言えないし、複雑な顔をしていたよ。

 パワーというのは筋量に比例するもので、筋量を増やすには食事も大切と聞く。つまり多少贅肉があってもいいから、ドンドン食べて体重を増やし、ウエートをガンガンやったほうが「ボールを飛ばす」ということにおいてはいい、ということらしい。
 実際、女子ゴルフプレーヤーにデブ、いや失礼、少しぽっちゃりした選手が多いのは飛距離を出すために意識して体重を増やしているからという。

 プロ野球のバッターにも、間違いなく、デブの時代ではなく、太めの時代が来ている。

 この間、アジャことロッテ井上晴哉が下半身のウエート・トレで増量し、114キロから120キロに達し、日本人選手最重量になったという記事を見た。
 ほかにも昨年大ブレークした西武山川穂高、おかわり君こと中村剛也ソフトバンクデスパイネとか、太めのホームランバッターが増えている。

 加えれば1980、90年代の映像を見てもらえば分かるけど、プロ野球選手全体の体がむちゃくちゃでかくなっている。

 ただ、昔から経験則で分かっていた選手はいた。
 いまみたいに筋量がどうこうは言われてなかったけど、南海の門田博光さん、あと落合博満さん(ロッテほか)がそうだった。落合さんは、信子夫人に言われて体重を増やしてからボールが飛ぶようになったという。

 アジャの話に戻るが、2019年からZOZOマリンにホームランラグーンができるのも頭にあったんじゃないかな。狭くなった分、少しの飛距離アップで一気にホームラン数が劇的に変わってくる可能性もあるからね。

 ただ、体重増にも限度はある。清原和博巨人時代に1年1年でかくなったけど、それでヒザの故障を悪化させた。腰やヒザへの負担は、体重が増えると、どうしても増す。選手寿命を考えたら自分のベスト体重は把握したほうがいいだろう。

 さらに言えば、最初に触れたように野球はポジションによって求められるフィジカルがまったく違う。ここまで挙げた選手は、大抵一塁手かDHだけど、ショートやセカンドなら、やはり体は絞ったほうがいい。外野も足の速さは重要だしね。

 あと投手もそう。俺は自分がそうだったこともあるけど、肩周りの可動域はもちろんだけど、先発投手は特に、体を絞ってキレを出し、柔らかく使ったほうが球持ちのいいフォームになる。だから、これまでも巨人・田口麗斗に走れ、走れと書いてきた。

 でも、広島時代の江夏豊さんがそうだったけど、クローザーとか短いイニングを投げるだけなら、それほど関係ないかもしれないし、メジャーの選手を見ていると、「速い球を投げる」というだけなら、ある程度、筋量をつけてもいいのかもしれない。

 投手、野手にかかわらず、大事なのは自分がどんなスタイルの選手を目指している、ということかな。

関連情報

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング