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背番号物語2019

【背番号物語2019】「#24」獅子が誇る鉄腕の象徴

 

背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。

左右の鉄腕がズラリ


西鉄・稲尾和久


 2012年、西武で永久欠番となった「24」。前身の西鉄で黄金時代の立役者となり、「神様、仏様、稲尾様」と称えられた稲尾和久の背番号だ。その生誕75周年を機に制定されたものだが、西鉄が太平洋となったときにも永久欠番となる可能性はあった。このときは稲尾が固辞。その後、西武では若手時代の秋山幸二や移籍してきた平野謙など、好打者がリレーした時期もあった。他のチームも鉄腕タイプの好投手やスター性のある好打者が並ぶ。

 右の鉄腕が稲尾なら、左の鉄腕は1997年に42歳で最優秀防御率に輝いた広島大野豊。ダイエーと日本ハムで「24」を背負った下柳剛も44歳まで投げ抜いた左の鉄腕だ。右腕では、鉄腕タイプでこそないが、アキレス腱断裂から復活した大洋の遠藤一彦がいる。不動のエースからクローザーに転身しての再起だった。

 同時期には巨人に“絶好調男”中畑清がいて、その系譜をさかのぼると、“8時半の男”宮田征典がいる。心臓の疾患で長いイニングを投げられず、鉄腕とは対極にいるようだが、V9の幕開けに貢献した65年には当時は珍しい救援専門の投手としてリーグ最多の69試合に登板した“鉄腕”だ。

【12球団・主な歴代「24」】
巨人 樋笠一夫、宮田征典、中畑清、高橋由伸クック(2019年〜)

阪神 本堂保次渡辺博之遠井吾郎桧山進次郎横田慎太郎

中日 古川清蔵仁村徹遠藤政隆英智福谷浩司

オリックス 黒田健吾、古川清蔵、戸口天従簑田浩二宮崎祐樹

ソフトバンク 岡本伊三美矢野実、下柳剛、内川聖一長谷川勇也

日本ハム 小鶴誠寺川昭二、下柳剛、陽仲壽(岱鋼)、森本龍弥野村佑希☆(2019年〜)

ロッテ 本堂保次(保弥)、醍醐猛夫芦岡俊明吉田裕太東妻勇輔☆(2019年〜)

DeNA 小谷正勝、遠藤一彦、門倉健寺原隼人(早人)、齋藤俊介

西武 小田野柏、稲尾和久★、秋山幸二、平野謙、松永浩典

広島 磯田憲一渡辺弘基、大野豊、河内貴哉横山弘樹

ヤクルト 阿井利治大川章内藤尚行花田真人星知弥

楽天 高村祐山崎隆広高堀和也福田将儀三好匠
(☆は2019年、★は永久欠番)

最長は左の鉄腕と鉄腕キラー


広島・大野豊


 ライバルの阪神には低迷期の四番打者で、選手晩年は代打の切り札として存在感を発揮した桧山進次郎がいる。代打の切り札では巨人も負けていない。56年に史上初の代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放った樋笠一夫は、そのパイオニア的存在。日本シリーズ初の代打本塁打も51年に樋笠が放ったものだ。

 巨人の「24」では、監督としても「24」のまま采配を振るった高橋由伸も記憶に新しい。迎えた19年はメジャーでクローザーとしての実績があるクックの背に。新時代の“8時半の男”誕生となるか。

 阪神の「24」は将来の主砲と期待を受けた横田慎太郎が継承したが、現在は欠番。横田は17年2月に脳腫瘍が判明、支配下復帰を待っているためだ。故障や病気に屈しなかった名手たちが背負った「24」の後継者。その復帰も遠くないはずだ。

 ちなみに、選手として「24」の最長は桧山の22年で、続いて大野と醍醐猛夫が19年で並ぶ。醍醐は毎日からロッテにかけてマスクをかぶり続けた鉄人捕手だ。特に稲尾には強く、稲尾の連勝記録を20でストップさせた“鉄腕キラー”でもあった。

写真=BBM
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