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大谷翔平はなぜ逆方向に長打が打てる?【前編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.エンゼルスの大谷翔平選手がメジャー移籍1年目から22本塁打を記録しました。逆方向、しかも左中間スタンドへの本塁打も多いようですが、なぜ大谷選手は逆方向に大きな当たりを打つことができるのですか? 技術的な特徴も教えてください。(東京都・24歳)



A.左ワキの閉じ方(左ヒジのたたみ方)とそこからの押し込みの意識。強くてうまい


昨季は22本塁打を放った大谷


 昨シーズン途中に右ヒジを痛め、ピッチャーとしては1年目を完走できず、オフにトミー・ジョン手術を受けて19年はリハビリで登板できないのは残念です。しかし、バッターとしては昨年、日本時代と変わらない、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。手術の影響は打撃面にも少なからずあるようで、今季開幕は間に合わないという話を聞いていますが、バッターとして、昨年と同程度の試合数に出られるのであれば、数字が伸びる可能性は十分あります。

 日本時代と比較すると、足を大きく上げるフォームをやめ、すり足にしたことは皆さんもご存じだと思います。その最大の理由はタイミングにあります。日本のピッチャーとは異なり、メジャーの選手たちはモーションを開始してからリリースまでが速いため、開幕前のいわゆるオープン戦などでは差し込まれたり、タイミングが合わずにスイングを狂わされていました。ところが開幕直前にすり足に変更。自分の“間(ま)”でスイングができるようになり、1年目の成績につなげました。

 技術的な部分ではポイントを近づけたことも挙げられます。これはムービングファストボールへの対応でしょう。ポイントを近くしても打てるのは、左のワキをしっかりと閉じながら押し込めるからです。飛距離を稼ごうとして遠心力を使い、バットが遠回りする選手を見かけますが、これはかえって逆効果。引っ掛けることが多くなってしまいます。

 しかし、大谷選手は内側から出そうとする意識を持ち、左ヒジをうまくたたみながら押し込んでいく。こうしてロスなくためたパワーをバットとボールがコンタクトする瞬間にしっかりと伝えられるので、あれだけ飛距離を伸ばすことができるのだと思います。

 これがポイントが前過ぎても押し込みは使えませんし、手前過ぎるとなかなか力で押し返すのは困難です。“少し手前”の現在のポイントが、もっとも効率よく打球を飛ばせる最適の位置と言えるかもしれません。このポイントで素直に押し出していくので、左中間方向へ飛距離が出るのだと思います。

 繰り返しますが、“逆方向”へのポイントは、左のワキの閉じ方(左ヒジのたたみ方)と、そこからの押し込みですね。強いし、うまいと思います。

<「後編」へ続く>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=Getty Images

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週刊ベースボール編集部

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