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大谷翔平はなぜ逆方向に長打が打てる?【後編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.エンゼルスの大谷翔平選手がメジャー移籍1年目から22本塁打を記録しました。逆方向、しかも左中間スタンドへの本塁打も多いようですが、なぜ大谷選手は逆方向に大きな当たりを打つことができるのですか? 技術的な特徴も教えてください。(東京都・24歳)



A.ノーステップとはいえ必要な分だけ踏み込んでいる


昨季は22本塁打を放った大谷


 前編の続きです。逆方向に大きな当たりを打てる理由として、大きく足を上げるのではなく、ノーステップにしてブレやロスをなくし、自分の間(ま)でスイングができるように修正ができたこと、ポイントを近づけ、左のワキをしっかりと閉じながら押し込めることを挙げました。“少し手前”の現在のポイントが、実はもっとも効率よく打球を飛ばせる最適の位置と思われ、このポイントで素直に押し出していくので、左中間方向へも飛距離が出るのだと考えられます。

 単純にメジャー・リーガーたちにも引けの取らない体の強さ、パワーが大谷選手のベースにあることも忘れてはいけません(トレーニングの賜物だと思います)。そうではないと、技術だけでは左中間最深部にホームランを打つことはできませんからね。

 メジャー1年目での22本塁打は日本人最多記録です。あの松井秀喜氏(当時ヤンキース)でさえ、1年目は16本塁打(2年目は31本塁打)。2人の違いは、手元で動くボールに対応するためにギリギリまで後ろに残そうとした松井氏に対して(移籍1年目は特に前さばきが難しい印象でした)、大谷選手はノーステップとはいうものの、小さな動きで必要な分だけ踏み込んでいるので、前さばきもできるため、運ぶこともできるし、拾うこともできました。ポイントを手前に持ってきたとはいえ、松井氏よりは近づけ過ぎてはいなかった、ということです。

 ただ、チェンジアップには弱かったですね。ワンバウンドするボール球を振らされていたケースを何度も目にしましたし、何とかバットに当てても、引っ掛けるような打球となって、懸命に走る姿も見ました。だからこそ、引きつけ過ぎない意識が働いたのかもしれませんが、加えて目線を上げる工夫があっても良かったかもしれません。ヒザよりも下は捨てるくらいの思い切りが欲しいところです。

 今シーズンは復帰時期がはっきりしませんが、打者専念で5月くらいに復帰したとしたら、1年目よりも少しだけ多い130試合前後の出場となるでしょうか。単純に考えて、安打数、ホームラン、打点は昨シーズンよりも増えるでしょうし、あとはアベレージがどちらに転ぶかですが、3割に乗せてほしいですね。何番を打つかにもよりますが、非常に楽しみです。

<完>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=Getty Images

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週刊ベースボール編集部

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