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リプレイ検証導入で、走塁面に影響はあった?/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.プロ野球ファンです。2018年よりリプレイ検証が導入されましたが、そのことによって走塁面で何か影響はあったのでしょうか。対策や想定していたことがあれば教えてください。(東京都・54歳)



A.技術でセーフに見せていたもののごまかしがきかない


元中日・井端弘和氏


 これまでのジャッジがいい加減だったということでは決してないのですが、スライディングが速く見えて、本当はアウトなのにセーフと言われることもあったのは事実です。その逆で、実はタッチをかいくぐっているのに、タイミングでアウトになる場合も少なからずありました。このようなジャッジは本来ならば誤審であって、許されるものではないのですが、攻撃側も、守備側もお互いさまで、セーフに見せる、もしくはアウトに見せるのも、走者と守備側の技術と理解されてきました。

 ところが、リプレイ検証「リクエスト」が導入されてからというもの、少しでも疑問に感じたジャッジはすぐに審判にアピールするようになり、映像ではスローで、アップでと、それこそさまざまな角度から「検証」されるため、ごまかしがきかなくなりました。影響といえば、この点でしょうか。

 そこで必要になってくるのは、さまざまな状況に対応が可能なようにスライディングができるようになることです。特にホームではコリジョンルールもあり、それまでは突っ込んでもブロックされてアウトになっていたものが、接触プレーは禁止となっています。

 ホームへのヘッドスライディングなど、ブロックされたときに鎖骨を折る可能性があり、ケガのリスクが高過ぎてもってのほかでしたが、コリジョンルールのある現在は、それも1つのテクニック。ホーム上でのスライディングのうまい、ヘタは今後、顕著に出てくるでしょう。

 それらを有利に働かせるためにも、タッチをかいくぐるスライディングの方法を磨くと良いかもしれません。プロではこのような走塁に関連する練習は、全体でどうこうというよりも、個々人の取り組みによるところが多いですが、スライディングのバリエーションを増やしておいて損することはないと思います。

 ちなみに、先ほどヘッドスライディングでのホーム生還に触れましたが、あくまでも一例として挙げたことをご理解ください。私が考えるに、ヘッドスライディングはけん制の帰塁以外に絶対にしてはいけません。昨季は巨人吉川尚輝が内野ゴロで一塁へ向かう際に、頭から滑り込んで左手首を折っていますが、代償はあまりに大き過ぎました。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

写真=BBM
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