昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 長嶋茂雄はなぜ電話をかけないのか
今回は『1966年3月7日号』。定価は60円だ。
阪神の新人・
藤田平の評判がいい。
市和歌山商高からドラフト2位で指名されて入団した遊撃手。大先輩の
吉田義男(遊撃手)二世、
三宅秀史(三塁手)二世とも言われ、守備力はすでに一軍クラス、バッティングも柔らかいリストの使い方が絶賛されていた。
加えて、最大の特徴は「無口」。阪神担当記者が「あいつがしゃべったのを聞いたことがない。一体どんな声をしているのだろう」と口をそろえるほどだったという。
練習もとにかくやっていた。
素振り用バットの手のあたりが真っ黒になっているので「それ、何年使ってるの?」と記者に聞かれ、「おろしたてで、まだ10日ほどです」と答えて驚かれたこともあった。
キャンプ地から夫人や恋人への電話代も話題に。
新婚ほやほやの巨人・王貞治は「電話、毎晩してるよ」とまったく照れた様子もなく語る。交際中の前年キャンプは10万円だったというが、ホント?
一方、長男が生まれたばかりの
長嶋茂雄はあまりかけてないらしい。理由がふるっている。
「だって僕のことは新聞を見て、みんな知っているはずだから」
変わった話もあった。この年、福岡・筑上中部高から
中日入りした
鳥谷元(とりたに・げん)を「とりや」と呼ぶことに球団が決めたという。理由は「呼びにくいから」というが、これもホント?
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM