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週刊ベースボール60周年記念企画

石本老が説くプロ野球選手の性病問題/週べ1966年3月14日号

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

淋病で選手生命を断たれた選手も…


表紙は巨人宮田征典



 今回は『1966年3月14日号』。定価は60円だ。

 最初、これは面白い! と調子に乗って書いてみたのだが、読み返したら、ちょっと恥ずかしくなってきたのと、あまりに長くなったので、端折りながらできる限り短く、淡々と書き直してみた。

 この号の特集は『プロ野球選手のセックス処方箋』である。

 数回前、春季キャンプ中の広島・石本秀一コーチの“性教育”について触れたが、今回はその拡大版だ。
 
 黒板に男女の“あそこ”を書き、機能を説明するなどしていた、と書くと、「石本老(当時68歳)、若い選手を喜ばすためとはいえ、脱線し過ぎです」と思うかもしれないが、実は、その意図は「性病防止」だった。

 石本老いわく。
「ワシが性教育をしようと思ったのは、野球を始めてから40年間、性病にスポイルされた選手をたくさん見てきたからだ。だから性病の怖さ、正しいセックスのあり方を知ってもらおうと、機会あるごとに説いてきたのじゃ。
 ワシみたいに70歳手前になると、セックスの話をしても嫌らしくも何ともあるまい。若い者の性教育には適任じゃと思ってな」

 実は、この石本性教育教室は、1936年、タイガース監督になったときが最初という。当時、男女7歳にして同席せずの時代。学校でも性教育などあるはずもない。
 阪神ファンの産婦人科医から性病の怖さをいろいろ聞き、選手にしっかり伝えなければ、と思ったようだ。

 石本老によれば、
「戦前は相手側ベンチを見ると二、三人に症状があらわれていた。味方にも両足の付け根を淋病にやられ、リンパ腺を腫らしたままプレーしていた選手がいた。昔の選手は我慢強いからグラウンドでは分からんのだが、試合の帰り、一緒に電車に乗っていれば分かる。淋病にやられると関節が弱って、じっと立っていられないんだ。そのうち症状が進むと、打力も走力も衰え、選手生活もそれまでだ」

 1958年に赤線廃止。その後、売春は非合法となって地下にもぐり、その分、女性たちの病気の管理が疎かになっていた。 

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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