コントロール重視で4回1失点と好投した濱口
別人のように“まとまって”いた。2月21日、
ヤクルトとの練習試合(浦添)に先発した
濱口遥大は、4回を投げ2安打1失点の好投で先発ローテ入り、さらには初の開幕投手に向けてもアピールにつなげた。
ルーキーイヤーで2ケタ勝利を挙げながら、昨季はケガで出遅れ、復帰後もなかなか勝ち星に恵まれずに4勝止まり。制球を乱す場面もあり、4連続押し出しの屈辱も味わった。しかし、ヤクルトとの練習試合に先発した背番号「26」はストライク先行で打者14人に対して4奪三振、無四球と安定した投球を披露。特に3回は三者連続三振の圧巻の内容だった。
試合後は、「ひさしぶりの長いイニングで、いい体の使い方ができたと思います」と語った濱口だが、この日、ストレートの最速は141キロで、ほとんどが130キロ台。昨季のレギュラーシーズン最速が149キロだったことから、球速は10キロほど低かった。
それでもスピンの効いたボールは球速表示以上のキレを感じさせ、2回に四番・
バレンティンから136キロの外角ストレートで、さらに3回にも九番・
廣岡大志を138キロの高めのボール球を振らせて空振り三振を奪った。
「自分に有利のカウントを作り、決めにいくところで力まずにいけたのがよかった」
がむしゃらに腕を振ることだけに固執していた左腕がこだわりを捨て、モデルチェンジすることで新たな境地を開拓しつつあるようだ。とはいえ、濱口の姿に多少の違和感を覚えたのも確かだ。気迫を前面に押し出し、荒れ球でもかまわず打者に向かっていくのが彼の魅力でもある。小さくまとまることなく、マウンドで荒々しさを表現することも忘れないでほしい。
文=滝川和臣 写真=早浪章弘