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背番号物語2019

【背番号物語2019】「#51」2019年は激動と“不動”の好打者ナンバー

 

背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。

ふたたび輝くイチローの「51」



 迎えた2019年、「51」の動きは激しい。DeNA宮崎敏郎ソフトバンク上林誠知ら好打者が並んでいるナンバーだが、広島鈴木誠也中日京田陽太が「1」へと離脱。広島ではドラフト1位で入団した新人の小園海斗が継承するなど、5人の後継者が新たに誕生した。

 一方で、21世紀に入って欠番が続いているのがオリックスだ。言うまでもなく、イチローの背番号。登録名が「鈴木一朗」だった若手時代から一貫して「51」を背負い、メジャー・リーグでもヤンキース時代を除いて背負い続けている。18年シーズン途中にマリナーズの会長付特別補佐という異例の肩書をも背負ったが、19年に再びマイナー契約。3月に東京ドームで行われる開幕戦で、45歳の「51」を見ることができるかもしれない。

 ただ、「51」を背負った好打者の最初はイチローではない。京田が「1」へと去った中日には“シュート打ち名人”井上登がいて、南海を経て中日へ復帰して再び「51」を背負って引退した。長距離砲タイプでは東映に大杉勝男がいる。飯島滋弥コーチに師事し、「月に向かって打て!」の名言で打撃開眼。「50」の飯島コーチと背番号で並んでいた時期もあった。チームが日拓となった73年に「3 」となるも、1年で「51」に戻している。近鉄では“無冠の帝王”土井正博の出世番号だ。

【12球団・主な歴代「51」】
巨人 武宮敏明福嶋知春古城茂幸堂上剛裕田中俊太☆(2019年〜)

阪神 石川良照久保征弘古沢憲司桜井広大伊藤隼太

中日 井上登、小川敏明、村上(正岡)真二、京田陽太、滝野要☆(2019年〜)

オリックス 平田守、真田重蔵(コーチ)、山下浩二福良淳一、鈴木一朗(イチロー)

ソフトバンク 中谷信夫(コーチ)、柳田利夫山本雅夫荒金久雄、上林誠知☆

日本ハム   土橋正幸、大杉勝男、小田智之村田和哉石川直也

ロッテ 滝良彦西本幸雄(コーチ)、濃人渉(監督ほか)、仁村徹山口航輝☆(2019年〜)

DeNA 権藤正利斉藤巧石橋貢鈴木尚典(鈴木尚)、宮崎敏郎☆

西武 ロング、小関竜也大島裕行木村文紀西川愛也

広島 西本明和江藤智前田智徳、鈴木誠也、小園海斗☆(2019年〜)

ヤクルト 土居章助松元繁米野智人藤井亮太濱田太貴☆(2019年〜)

楽天 佐藤和宏川岸強柿澤貴裕フェルナンド小郷裕哉☆(2019年〜)
(☆は2019年)

広島とDeNAでは好打者の系譜


横浜・鈴木尚典


 イチローと同時期には横浜“マシンガン打線”の中軸を担った鈴木尚典(鈴木尚)がいた。日本一イヤーの98年から「7」となって2年連続で首位打者に輝いたが、07年に「51」へ戻して選手晩年を過ごしている。その後継者は17年の首位打者に輝いた宮崎敏郎で、イチロー同様、無名の存在から飛躍した。19年に鈴木から小園へとリレーされた広島では、かつて江藤智と前田智徳も短期間でリレーしたことがある好打者の系譜だ。

 オリックスでイチローの前任者は、イチローも先輩として慕った福良淳一で、愛称の“デコ”からSLのD51(通称デコイチ)にちなんだものだという。イチローが海を渡り、05年にオリックスは近鉄と合併、両チームで監督の経験があった仰木彬が新監督になると、イチローが仰木に「51」を着けることを提案したが、仰木が断ったという。もし実現したら、世界に羽ばたいた弟子の背番号を師匠が継承する異色の系譜となったのだが……。

写真=BBM
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