昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 スタンカは大洋に
今回は『1966年4月11日号』。定価は60円だ。
『殺し屋リューに傷つけられた長嶋はどうなる?』という物騒なタイトルの記事があったが、実際はそれほど大げさなものではない。
殺し屋リュウ(竜?)という役名の俳優に顏が似ているからと、それが異名になった
柳田利夫の送球を試合中胸に受けた
巨人・
長嶋茂雄が負傷離脱となった、という話だ。
肋骨にヒビが入ったらしい。
経緯は3月17日、沼津でのメキシコ・タイガース戦。8回のボール回しの際、サードの長嶋がセカンド・柳田からの送球を捕り損なった。
実は柳田の本職は外野手。メキシコのラフプレーでの故障者があったことでセカンドに入ったため、内野のボール回しの力の加減分からず、全力で投げ、長嶋は普段とタイミングが違ったこともあって捕れなかったという。
さらにいえば、メキシコがあまりに弱く雑な試合をするため、長嶋の集中力が切れかかっていたのもあったようだ。
大洋は助っ人の補強に動き、
中日にいた
アスプロモンテと南海にいた
スタンカを獲得した。いずれも退団後の獲得ではあるが、周囲を驚かせたのは、スタンカの獲得だ。
65年のスタンカは14勝を挙げるも、長男の事故死のショックから南海を退団し、帰国。オクラホマで雑貨商を営んでいた。その後、気持ちが落ち着いたのか南海に復帰を望む手紙を出すも断られ、今回の大洋入りとなった。
この際、南海がスタンカが日本球界に復帰できないよう「任意引退」としていたのを「自由契約」にするため、大洋は南海に1400万円のトレードマネーを払った。ウワサでは当初、3000万円と言っていたらしく、あまりの銭ゲバに大洋側は驚いたという。
南海はスタンカから復帰要望が来た際、任意引退になっているかどうかの確認をしている。他球団から、特にスタンカが退団を表明した際にも話が来たという大洋からいかに金を取るかは、当然、考えていたと思う。
商売上手というか、シブチンというか……。
スタンカ加入で外国人2人の枠が埋まった大洋からクレスが近鉄へ移籍となった。
外国人といえば、この年から東映のコーチとなったリーザーが「俺はアメリカに帰る」と激怒し、オープン戦に姿を見せなくなった。
月決めでもらった給料のうちから東映が正式契約前の数日分のホテル代を引いていたのに対し、「球団には親切さも誠意もない」とへそを曲げたようだ。
世界初のドーム球場「アストロドーム」に、今度は人工ナイロン芝生、つまりは人工芝が導入されたニュースもあった。
ふたりだけのマジメ対談。前回の長嶋─加賀まり子に続き、今回は
王貞治と緒方拳。豪華だ。
なお、本文ともダブるので、今回から見出しを「週べ回顧」とした。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM