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三番は? レフトは? 激化する広島の定位置争いを占う

 

三番候補として試されている2人の左打者


開幕三番の可能性が十分にある西川


 広島は3月3日の西武戦(長崎)を10対4で大勝したが、このゲームでは打線が14安打。ドラフト1位の小園海斗にもオープン戦1号本塁打が出るなど打線が活発に打ち、多くの打者がアピールに成功したことから、開幕からペナントレース序盤へのレギュラー争いが、さらに激しくなってきた。

 今季の広島のオーダーの最大のポイントは、FAで巨人に移った丸佳浩の抜けた三番打者にだれが座るか。レフトのレギュラー争いに勝ち残った選手が座るのが最も理想的であり、そことも絡む争いが展開されている。

 過去の実績で言えば、丸の人的補償で巨人から移ってきた長野久義が第一候補。ただ、年齢的な部分もあり、フルシーズン三番を期待できるのか、というところと、長野が三番に入った場合、二〜四番に右打者が並び、五〜七番に左打者が並ぶ、というバランスの悪い構成が濃厚になることもあり、「三番・長野」で確定、という感じではまだなく、オープン戦ではここまでは他の三番打者が試されている。

 ここまでで試されたのは、ともに左打者の坂倉将吾西川龍馬だ。坂倉は捕手から、西川は内野手から、今季は外野にも挑戦しており、高い打撃センスが三番候補としても期待されている。

 オープン戦序盤、まず三番として試された坂倉は、ここまでは練習試合を含む対外試合を21打数6安打、打率.286で2打点と、打撃ではまずまず期待に応えた。だが、レフトの守備のほうでは、追い方がまずくて飛球に追いつかず……、という場面がたびたび見られ、ちょっとまだ一軍のゲームで使うには怖い状況か。今後、打ち続けたうえに守備も格好をつけなければいけないので、本格的にレギュラー争いという感じになるのは少し先になるか。

 西川は、対外試合序盤は調子が上がらなかったが、3日のゲームでは3安打1打点と調子を上げてきた。守備は外野にもある程度対応できており、このまま打撃の調子を維持し続けられれば、開幕三番の可能性もある。現在は、センター野間峻祥のサブのような扱いになっており、このあと侍ジャパンに野間が招集されている間はセンターでの起用になろうが、野間が戻ってきた後、レフト中心の起用になるかどうかが見もの。

 第一候補の長野も、3日のゲームでは左中間へオープン戦での初安打となる2点二塁打。ここから開幕までにどこまで調子を上げてこられるかが勝負になりそうだ。

 さらに、もしも、ここまでの対外試合21打数8安打、2本塁打、3打点と好調なメヒアが今後も打ち続けるようなら、レフト松山竜平、ファーストにメヒアというオプションもあり得る。ただ、この場合は松山、メヒアともに五、六番を担うポイントゲッタータイプなので、三番にだれを入れるか、という問題は少し出てくるが。レフトが他の選手で固まった場合は、この2人はファーストを争うことになる。

小園の扱いは果たして……


 その他のポジションでは、サードが、安部友裕がインフルエンザの影響で少し遅れている間に、堂林翔太がここまでの対外試合20打数6安打、2本塁打、3打点、打率.333と好調に打っており、どうなるかという状況。安部の今後の復調次第になってきそうだ。前述のメヒアもサードができないことはないが、これはちょっと守備が不安か。

 そして問題はオープン戦初本塁打まで打ってしまった小園の扱い。ショートには連続フルイニング出場を続ける田中広輔がいるだけに、普通に考えれば開幕一軍は難しいが、出た試合では常に攻守いずれかでは光るところを見せており、ファームに落とす理由がないのが実際のところか。もしも今後も打ち続けて、左の代打として一軍でも使える、となってくるようなら……、と夢はふくらむ。守備は今のところショートの練習しかしていないので、一軍に置くとしても代打や代走に起用が限定されるが、さてこれからどうなるか。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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