昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 金田正一、開幕戦でKO負け
今回は『1966年4月25日号』。定価は60円だ。
いよいよ1966年(昭和41年)ペナントレースが開幕した。
オープン戦、7勝12敗3分で12球団中最下位に終わった南海は、ウワサされていた
杉浦忠投手コーチの現役復帰を正式発表した(コーチ兼任)。
右腕の動脈閉そくによる引退だったが、キャンプで打撃投手をしても現役選手とそん色ない球を投げていたことは確か。投手陣が故障や病気で次々離脱しており、
鶴岡一人監督も苦渋の決断だったと思う。
もちろん、症状が悪化する可能性もある。本人も怖かったと思うが、会見では自らの意志で復帰したことを強調する。
「要は野球への情熱。まだボールを投げたいという気持ちを抑制できなかったし、はっきり言って給料面の問題もある。僕に野球をやらせてください」
金のためではあるまい。何があろうと誰のせいにもしない、ということか。
セの優勝候補筆頭、
巨人は開幕から大洋に2連敗。
開幕戦は
金田正一を先発に立てるも3本塁打を浴び、敗れた。金田の開幕投手は国鉄時代も含め12年連続になるが、KO負けが初めてだったようだ。
「開幕にはどうしても興奮しがちだが、カッとしていたんだね。カーブも鈍いし、ストレートも甘かった。いいときも悪いときもあるんだからね。ワシもまだ負けはせん」
金田の神通力がなくなった、と解説者たちが話していた。
セ、パの人気の差が急速に開いている話は何度か書いたか、人気商売のテレビが大きく動いた。従来はパの試合もそれなりに中継していたのだが、この年からTBS系、フジ系がセ・リーグ中心に扱う方針を決め、唯一NET系だけがパ中心に放映することになった。
これにより、人気の巨人一極化はさらに進むことになる。
最後にくだらない話を。
西鉄は開幕戦に小倉球場を使ったのだが、この球場に女性ファンが絶対に座りたがらない席があったという。
実は、ダグアウト横に換気用の小窓があったのだが、そこからの眺めというのが、スタンドの椅子席を下から眺めるようなもの。スカートの女性なら「パンツ丸見え」だったらしい。
では、またあした。
<次回に続く>