3月29日の開幕へ向け、オープン戦真っ盛りだが現在、各球団は実戦を通して最適な打順を模索中だ。その中でも近年、クローズアップされるのが二番。従来のつなぎ役か、それとも一気にチャンスを広げる強打者か。どういったタイプを二番に配するか、球団によって異なる。ここではパ・リーグ各球団の二番打者事情を見ていこう。 千葉ロッテマリーンズ
レギュラーの絞り込みはまだこれから行われていくが、
井口資仁監督は“攻撃的二番”を配する構想を持っている。初回に無死一塁となった場合はバントで安易に送るのではなく、左打者が右方向を狙うことで最低でも打者走者を進めながら、無死一、三塁の形を作ることが理想となる。事実、オープン戦初戦となった3月2日の
中日戦(ナゴヤドーム)では両打ちの大砲・
バルガスを二番に起用した(4打数無安打3三振と不発に終わったが……)。ほかにも
角中勝也や
平沢大河、ドライチ新人の藤原恭大、両打ちの
加藤翔平といったところが候補になっていくだろう。いずれにしても二番打者が新たなカモメ打線のキーになっていきそうだ。
北海道日本ハムファイターズ
新加入した台湾の至宝・
王柏融をラインアップに組み込み、2019年シーズンも日本ハムは超攻撃型オーダーで勝負する。その中で大きなポイントであり、キーマンになりそうなのが「二番」を任されそうな大田泰示だ。キャンプ中の練習試合、3月2日から始まったオープン戦でも二番で存在感を発揮。一番を打つ
西川遥輝とのコンビは長打力も秘め、相手バッテリーにとっては今季も脅威の存在となりそう。「どの打順であろうと自分のバッティングをするだけです」。その言葉どおり、これまでの既成概念を覆す新時代の攻撃型二番として背番号5が、そのバットでチームの勝利に貢献する。
福岡ソフトバンクホークス
今宮健太か、上林誠知か、
牧原大成か――。首脳陣が開幕に向けて打順を模索する中、3月2、3日のオープン戦・
阪神戦(ヤフオクドーム)で二番を任されたのは上林だった。キャンプ中盤に右臀部(でんぶ)付近に張りを訴えて別メニュー調整となった上林は、復帰後、打撃のタイミングにズレが生じているという。望んでいるのは上位打線での打席増。3日の試合では上林らしい内野安打で出塁した。まだ本調子とは言えないが、二番に限らず上位打線に置けばチャンスメークに一発と、相手バッテリーにとってイヤな存在となるに違いない。積極的なスイングで相手投手のリズムを狂わせる牧原、送りバントなどでも好機を広げられる今宮にしても上位打線の適性を有しているだけに、開幕まで熾烈な争いが繰り広げられそうだ。
埼玉西武ライオンズ
今季も西武で二番を担うのは源田壮亮だ。ルーキーイヤーの2017年からほぼ二番に入り、強力打線のつなぎ役として機能してきた。快足を生かして強攻もでき、もちろん犠打で走者を進めることもできるマルチな二番だったが、今季は“コンビ”を組む相手が変わりそうだ。昨年までは
秋山翔吾が一番に入ることが多かった。しかし、今年は
金子侑司が切り込み隊長の座をつかむべく奮闘中。16年には盗塁王を獲得し、昨年も32盗塁をマークした金子侑と2年連続で30盗塁超えを果たした源田。プライベートでも仲のいい快足コンビが強力西武打線に新たな彩りを加えてくれそうだ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
2月にスタートした実戦でテストしたのが「二番・田中和基」という攻撃的オーダーだ。パンチ力のあるスイッチヒッターで、オープン戦では2戦連続本塁打も放つなど期待に応えた。だが、台湾での親善試合で右足首をひねって途中交代したことが気がかりとなっている。現在、打撃好調の
オコエ瑠偉、ドライチルーキーの
辰己涼介、一軍合流間近の
茂木栄五郎ら若手選手が一、二番候補としてしのぎを削っている。後続には
浅村栄斗、
ブラッシュと強打者が続くだけに、二番打者の役割は例年以上に重要となってきそうだ。
オリックス・バファローズ
一番同様、近年は固定ができていなかったが、今季は“若武者”がアピールを続けている。キャンプ一軍スタートを手にした高卒2年目の西浦颯大だ。紅白戦ではコンスタントに安打をマークし、逆方向にも本塁打を放つなどパンチ力も披露。50メートル走5秒9の俊足も併せ持ち、中堅のレギュラー争いに参戦すると、実戦で「二番・中堅」での起用が続いている。
ロメロ、
メネセス、
マレーロの助っ人に、
吉田正尚、
T-岡田らの中軸の前にいかに走者を出すかがカギとなる中で、西浦の成長は好材料。果敢に盗塁を試み、強力打線形成に一役買う可能背も大だ。“攻撃型二番”が、
西村徳文監督が掲げる“積極野球”の象徴となる。
写真=BBM