ナインに迎えられる鳥谷。内角の弱さが指摘されていたが、実は強かった
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2004年3月6日だ。
試合前から雪が舞うヤフーBBスタジアム。この日の
オリックス対
阪神のオープン戦は最悪のコンディションだった。3.4度の超低温、ベテランなら絶対に無理をしないケースだが、ルーキーには「無理」の2文字はない。不可能を可能にするぐらいの意気込みを見せないと生き残れないのだ。
「一番・ショート」でスタメン出場した阪神の新人・
鳥谷敬。1打席目は二ゴロに倒れたが、3回表の2打席目にその力を見せてくれた。そこまでの15打席、鳥谷は1度もスカッとしたバッティングを見せていないが、この打席は粘った。6球ファウル。タイミングが合わないのだろうが、それでも積極的に振りにいく姿勢が見えた。
結局、フルカウントに持ち込み、相手先発の
ムーアが根負けして投じた10球目の内角低めの135キロ直球を右中間スタンドへ弾丸ライナーで打ち込んだ。逆風を突く豪快な本塁打。初めて見せてくれたスカッとした一発だった。
試合はこの時期には珍しい降雪
コールドゲーム(5回裏終了、7対2で阪神の勝利)となったが、2万5000人のファンは黄金ルーキーの一発で雪中観戦も苦にならなかったことだろう。
「少々のボール球でも打つつもりだった。会心の当たりじゃないし、打った瞬間は入るとは思わなかった。追い込まれてから粘れたことがよかった」と鳥谷。「難しいボールやで。うまいこと打ったんちゃうか」と
岡田彰布監督も褒め称えた。
写真=BBM