3回、打者10人に投げ許した安打は田中幸雄の二塁打1本のみ。「あのスライダーは狙っても打てない」と日本ハム打線は伊藤に脱帽
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1993年3月7日だ。
この日、日本ハムとのオープン戦(神宮)で“プロデビュー”を果たしたのが
ヤクルトのドラフト1位右腕・
伊藤智仁だった。伊藤は3回を1安打無失点、4奪三振という期待どおりの内容。「やっぱりすごい」と周囲をうならせ、さっそうとしたマウンドさばきで打者を打ち取る姿は、まさに“新人離れ”の形容がピッタリだった。
「ボチボチというところです。実績がまだないので、とにかく結果を残していかないといけませんから。自己採点は70点」と新人らしからぬコメントを残した伊藤だが、
野村克也監督をはじめ周囲の見る目はもはや新人を見る目ではない。
この日のヤクルト打線は1回裏に大量8点を奪う大爆発だったが、「四球がないから安心できる。投手が安定していれば、打線もよう打つということやな」と野村監督。
河村保彦投手コーチは「風格があった。岡林(
岡林洋一)、西村(
西村龍次)と伊藤で三本柱だよ」。さらに河村コーチは「ぜひ
西武にぶつけてみたい」と前年、日本シリーズで敗れた宿敵との一戦での登板まで予告してみせた。
写真=BBM