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背番号物語2019

【背番号物語2019】「#00」背番号の世界だけの異質なストーリー

 

背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。

もっとも登場が遅い2ケタ(?)の背番号



 デジタル時計をお持ちの方なら、テレビやラジオで時報が鳴った瞬間、その時計に目を移していただきたい。正確な時間を刻む時計であれば、分を表示する部分には「00」と並んでいるはずだ。「0」については、数字の歴史を振り返り、哲学して、といったアナログ的な検証も可能だった。それが2つ並ぶ「00」をアナログで考証すると、かなりシュールな様相を呈すだろう。

 人類の歴史では、デジタルの登場は昨日のことのような最近だ。背番号の歴史でも「00」の登場は2ケタの数字ではもっとも遅い(「00」を2ケタの数字と言っていいのか分からないが……)。異色というより“異質”な数字である「00」の歴史は緊急事態から始まる。1988年の阪神で、日本一イヤーから2年連続で三冠王に輝いたバースが長男の看病をめぐる問題で退団、その穴を埋めるべく補強されたのが外野手のジョーンズが「00」を初めて着けた。だが、ジョーンズはオフに解雇。これに追随するチームはなく、早くも「00」は球界から消えた。

【12球団・主な歴代「00」】
巨人 屋鋪要大西崇之川中基嗣寺内崇幸吉川大幾☆(2019年〜)

阪神 ジョーンズ、亀山努、田中秀太(秀太)、柴田講平上本博紀

中日 若林隆信山口幸司柳沢裕一前田章宏、エルナンデス

オリックス マルチネス、村上眞一広永益隆山崎浩司西浦颯大

ソフトバンク 山口裕二、ホールトン、吉川輝昭江尻慎太郎川瀬晃

日本ハム 二村忠美秋村謙宏ミラバル

ロッテ 諸積兼司小坂誠、メイ、高濱卓也、レイビン☆(2019年〜)

DeNA 川崎義文河野友軌森笠繁藤井秀悟宮本秀明

西武 マクレーン、林崎遼水口大地

広島 アレン、嶋重宣、山崎浩司、中東直己曽根海成☆(2019年〜)

ヤクルト 城友博佐藤真一城石憲之川島慶三奥村展征☆(2019年〜)

楽天 森谷昭仁中村真人星野智樹阿部俊人
(☆は2019年)

猛虎が更新する「00」にまつわる物語


阪神・松永浩美


「00」が復活したのは90年代のダイエー。92年に発祥の阪神で2代目となった亀山努の活躍によってブレーク。翌93年には巨人で屋鋪要が着けるなど、「0」と同様に新天地で再起を期すベテランのナンバーにもなった。

 93年は変わった方向にも加熱したシーズンで、やはり阪神に「02」の松永浩美が登場。大洋を経て古巣の日本ハムへ復帰した二村忠美は「ジェームス・ボンドのように」と「007」を要求、支配下という立場を捨てれば現在では不可能ではなさそうだが、当時は却下されて「00」の初代となった。その日本ハムでは2005年を最後に、「0」と同様に欠番だ。

 18年には西武で水口大地が「00」から「0」へと“昇格”して「00」が欠番となり、阪神では大和がFAで去って「0」が空席、「00」に上本博紀がいる状態に。「0」の選手がいないチームに「00」の選手がいるのは異例だったが、この状態は1年のみ。ほとんどの場合で“「0」あっての「00」”となっていて、ほかの背番号と相関的な関係があるのは「00」ならではの特徴と言える。

「0」に吉川尚輝がいる巨人では迎えた19年、吉川大幾が「00」に変更。「0」と「00」に同姓の選手が並ぶ珍事に。一般的には「0」に続く数字は「1」だが、背番号の物語においてだけは、「0」に続く数字は「00」なのかもしれない。

写真=BBM
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