プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1994年3月10日だ。
この年からオリックスの指揮官となった
仰木彬監督がオープン戦で早くも“マジック”を炸裂させた。
日本ハム戦は地元・神戸での今季初ゲームということで、スタメン10人全員を新人、移籍の新入団選手でそろえる“顔見せオーダー”を組んだ。おまけに始球式ではマウンドに
山田久志コーチを送って、打席には日本ハム・
大沢啓二監督を立たせる演出。勝負を度外視したファンサービスの極みを披露してくれた。
この一戦でヒーローとなったのは4月に仰木監督の発案で
パンチ佐藤に登録名を変更することになる佐藤和弘。9回裏、一死一、三塁で野球人生初となる逆転サヨナラ打を放ってみせた。
仰木監督の“マジック”は続く。10日から12日の神戸での試合の入場者に投票してもらい、スタメンを決定させたのが13日の
ヤクルト戦。三番に得票数1位の佐藤和、四番に同2位の
岡田彰布を据えたブルーサンダー打線が爆発。佐藤和2安打、岡田もヒットを飛ばして9対3と圧勝した。
10日の試合はわずか2000人しか集まらなかったスタンドも13日には1万6000人と地元の関心の高さを示す数字。ファンに見てもらってナンボのプロの世界だけに、仰木監督以下の“企業努力”は何とか実を結んだ。
写真=BBM