ついに“スシボーイ”が幕張の地に降り立った。3月6日に古巣・
日本ハム戦(鎌ケ谷)でオープン戦初出場を果たすと、9日にはZOZOマリン改修後の初お披露目となった
中日とのオープン戦に「五番・三塁」で出場。「情熱的で熱狂的だから楽しみ」と言っていたホームのファンの前に姿を現した。
本拠地デビューは3打数ノーヒットと不発に終わったが、レアードが今季のカモメ打線のキーマンとなることは間違いない。チームは長らく長打力不足に悩まされ続け、昨季は12球団最少のチーム78本塁打。8年連続で2ケタ本塁打に終わっている。
そこでチームが迎え入れたのが、日本ハムでの4年間で131本塁打をマークし、2016年には本塁打王に輝いているレアードだ。「ホームランを期待されていると思う。この4年間もしっかり打ってきたし、期待に応えられるようにしっかり努力したい」と、自身に求められているものを分かっている。
同時に「僕が入って、
バルガスも加わって、チームのパワー不足を解消することができれば、シーズンが終わるころにはほかのチームに匹敵するだけの(本塁打の)数字になるんじゃないかな」と自信もみなぎらせている。
本職は三塁だが、「試合によっては一塁、DHでの起用もあると思っている。たぶんレフトを守ることにもなるんじゃないかな」とポジションにこだわらず、
井口資仁監督の決断には従う意向だ。このスタンスが、各所でチーム内競争を激化させるという副産物を生んだ。
レギュラーはともかく、三塁がレアードに無条件で与えられるわけではない。そのことでモチベーションを上げて春季キャンプから実戦と猛アピールを続けているのは2年目の若き大砲候補である
安田尚憲だ。昨季のレギュラーであるチームリーダーの
鈴木大地も目の色を変えている。
レアードの左翼起用が本当に実現するとなると、外野争いで一歩リードしている
角中勝也、
荻野貴司でポジションは埋まってしまう。
加藤翔平や
菅野剛士、
清田育宏らは2月1日のキャンプイン初日から尻に火がついた状態で必死に居場所を確保しようとしていた。
早々とチームに好影響をもたらしているレアードだが、本人も口にしているように周囲が求めているのは豪快な一発。まだまだ調子を上向かせていくのはこれからだろうが、「(ホームランラグーンの設置で)外野フェンスが近くなるのは、バッターにとっていいことだから楽しみだね」という“スシボーイ”がZOZOマリンでどんな大暴れを見せていくのか。そのバットがチームの浮沈を左右するはずだ。
文=杉浦多夢 写真=榎本郁也