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マエケンの新たな女房役は、あのラッセル・マーティン

 

9年ぶりに古巣へ戻ったマーティン捕手。以前は斎藤や黒田ともコンビを組んでいただけに前田にとっても心強い存在になりそうだ



 今季、29歳のオースティン・バーンズとともに、ドジャースの捕手を務めるのは36歳のラッセル・マーティンである。カナダ出身、メジャー14年目のベテランで、近年はパイレーツ、ブルージェイズでプレーしていたが、もともとは2002年にドジャースにドラフト指名された選手だ。

 06年にメジャー昇格し10年までドジャースに在籍、斎藤隆黒田博樹とバッテリーを組んだ。「サミー(斎藤)は06年、ほぼ同じ時期にメジャーに昇格した同期生なんだ。大好きなチームメートだったね。性格が良くて、楽しいことをするのが好き。カラオケに行ったとき、『ヘイ・ジュード』を誰よりもうまく歌ったのは覚えている」と懐かしがる。斎藤がマーティンとバッテリーを組んだのは156試合。メジャーでの全登板試合数338試合の46パーセントである。

 黒田については「戦士だったね。いつも真剣で、笑っていてもくだけた感じにはならない。いついかなるときも、持っているものをすべて出し切り、安定した結果を残した。彼とはドジャースだけでなく、ヤンキースでも一緒にプレーした」とのことだ。

 黒田もマーティンと90試合で組み、メジャー全212試合の42・4パーセントだった。当時は20代。約10年が経ち、マーティンは捕手としてはカージナルスのヤディア・モリーナに次ぐ高齢選手になった。それでも優勝を狙うドジャースに必要とされ、1月にトレードで古巣に復帰した。

 本人も「今まで13年間メジャーでプレーして、チームは10度ポストシーズンに進んだ。だから過去2年は勝てなくてつらかった。ブルージェイズは、同地区のライバル、ヤンキース、レッドソックスに歯が立たなかった。また優勝を狙うチームに来れてよかった」と話していた。

 前田健太はさっそくブルペンで受けてもらうとともに、オープン戦初戦のロイヤルズ戦でバッテリーを組んだ。

「フレーミングも構えも完ぺき。その上長い経験があって投手の気持ちを優先してくれる。僕のスタイルを把握するのに、こういうボールはどうなの、得意なの、苦手なのとか聞いてくれた。さらに試合で組むときの構える位置とか構え方とか、なんでも言ってくれよと。経験ある捕手にアドバイスをもらって、悪いところを指摘してもらえればためになる。意見を聞きたい」と歓迎していた。

 一方のマーティンは「前田とは対戦経験もないから、どんな投手かよく分からない。ただスピンに特徴があって右打者にはスライダーと真っすぐを見分けるのは難しいと聞いている。スプリット(前田の言うチェンジアップ)は右打者にも左打者にも使える。キャラクターとしては斎藤と黒田のミックスかな」などと話していた。

 前田は斎藤とは年齢が19歳も違うし、黒田とでも14歳違う。それがこうして同じ捕手とバッテリーを組めるのは、マーティンの偉大なキャリアゆえだろう。実は三塁手としてドラフトされており、身体能力は極めて高い。捕手なのにメジャー・デビューした06年から09年まで4年連続2ケタ盗塁である。

 その脚力は本人いわく健在で「まだ走れる、若いヤツらとも競える」とのこと。新バッテリー、楽しみである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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