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引退表明の元ヤクルト・林昌勇 「最後は日本でプレーしたい」と話していた

 

サイドから繰り出す剛速球でヤクルトの守護神として活躍した林昌勇


「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は現役引退を発表した元起亜の林昌勇投手についてお話しさせて頂きます。

 日本でも愛着の強いファンが多いと思います。ヤクルトに2008〜12年までの5年間在籍し、不動の守護神で計128セーブをマーク。私もコンディショニング・コーディネーターとして携わりましたが、同級生で特別な思いを持った投手でした。印象に残っているのは誰よりもウォーミングアップを大事にする姿勢です。短距離ダッシュも全速力ですべて走り抜ける姿は、ほかの選手たちのお手本でした。通算成績で1000試合以上登板していますが、高いプロ意識と徹底した体調管理も一因だと思います。

 韓国人は下半身がしっかりしたパワー系の選手が多いのですが、チャンヨン投手は全身バネのような肉体で身体能力がズバ抜けていて足も速かったです。投球はサイドスローから最速160キロの直球で常に真っ向勝負するスタイルです。長距離砲の外国人打者にも臆することなく直球でガンガンいきますし、敬遠や勝負をせずに四球で歩かせた記憶がありません。

 韓国代表の守護神として出場した09年のWBC決勝戦では日本代表との試合で、イチロー選手に決勝適時打を浴びました。「一塁が空いていたのにチャンヨンが敬遠の指示を無視した」「実は敬遠の指示が本人に伝っていなかった」など、いろいろな情報がメディアで飛び交いましたが、私はチャンヨン投手が敬遠を選択する考えはまったくなかったと思います。イチロー選手と真っ向勝負したときに「それでこそチャンヨンだ」とあらためて敬意の念を抱きました。

 寡黙な性格で内に熱い思いを秘めた投手でした。ブレない自分の信念を持っている一方、トレーナーの意見には耳を傾けてくれる一面もありました。トレーナー陣全員を食事に誘ってくれたこともありましたし、根は優しい性格なのだと思います。2年前に韓国でチャンヨン投手と再会した際に、「最後は日本でプレーしたい」と話していました。右ヒジ靱帯の再建手術を2度した後も野球への情熱は消えていません。日本に特別な思いを持っていることを知ってうれしかったです。

 韓国の球界史上に残る伝説的な投手なので将来は指導者として再びユニフォームを着ると思います。日本になるか、韓国になるか分かりませんが、また一緒に仕事したいですね。

文=インプレッション・平尾類 写真=BBM
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