週刊ベースボールONLINE

ベースボールゼミナール

巨人・岡本和真選手のサード守備をどう評価している?【中編】/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.2019年シーズンから巨人の岡本和真選手がサードに挑戦しています。ブレークした18年は主にファーストでしたが、日米野球では5試合でサードを守っています。巨人、そして侍ジャパンで指導してきた井端弘和さんは、岡本選手の守備をどう評価していますか。(鹿児島県・43歳)



A.捕球時のステップが修正されていくとスローイングも安定


イラスト=横山英史


 前回の続きです。私がコーチになった2016年は、岡本選手には「人間の自然な動きのままに動け」ということと、構えたときに最低でもグラブが地面に着くくらいに柔軟性を身に付けること、の2点に重点を置いてスタートしました。

 人間の自然な動きのままに動く。つまり、純な動きができると(ぎこちなさがない)、守備は自然とうまくなっていくものです。逆に、守備の名手と言われる選手であっても、プレーの中で動きがぎこちなくなると、守備はおぼつきません。その中でも大切なことは正しく足を動かすことです。

 例えば、広島菊池涼介選手はいま、日本球界で1、2を争う二塁手と言われますが、そんな彼であっても、2017年WBCの準決勝・アメリカ戦で犯した痛恨のエラー(※ドジャー・スタジアムに冷たい小雨の降るコンディション。4回、正面のゴロを後方にはじき、このミスが相手の先制点につながる)は、打球が合わず足を止めて対処しようとした結果のものでした。ミスもあるものの、打球に合わなくても、修正するための正しいステップ(細かいステップ)が分かるようになってから、岡本選手も少しずつ守備に自信を持つようになっていったと感じます。

 当初は「肩は強いものの、スローイングに難がある」と言われていました。本人も自信がないというような発言をしています。ただ、スローイングだけにフォーカスしても、問題解決とはなりません。前号から解説してきたように、そもそも岡本選手は捕球に不安があり、捕る姿勢が悪くてここが不安定なためにスローイングにも悪影響が出ていました。

 ちなみに、捕球後、スローイングの足の運びは何も特別なものではありません。いつも行っている、キャッチボールの足の運び、そのままです。しかし、捕球が正しく行うことができないと、普段キャッチボールをしているタイミング、足の運びでは投げられません。捕球とスローイングは連動しているということです。

 岡本選手のスローイングの悪癖については次号の後編で説明しますが、前述のように捕球時のステップが修正されていくと、自然とスローイングも安定するようになっていきました。

<「後編」に続く>

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング