ついに、
原辰徳監督が決断を下した。
3月22日、都内ホテルにて行われた『2019読売巨人軍激励会』に参加した原監督は、壇上でのあいさつで29日にマツダ
広島で行われる広島との開幕戦の一部オーダーをサプライズ発表。「一番から四番まで打順は決まっています。一番は
吉川尚輝でいきます。二番・坂本(勇人)、三番・丸(佳浩)、四番・岡本(和真)。五番以降はレベルの高い競争をしていますので、まだここでは発表できない状況になっております」と力強く話し、会場は大いに沸いた。
就任以来、2019年新打線の注目ポイントは二番で、ここまで原監督は丸と坂本勇を併用してきた。MLBでは統計学的な考察から、得点効率を高める方法として、好打者に多く打席を回すための打順編成が主流に。これにも流れがあるが、近年は一番に出塁率の高い打者を置き、二番にチームNo.1の好打者を配する、いわゆる「二番打者最強説」が浸透している。岡本という若き四番が台頭する中で、リーグ屈指の打者である坂本勇に加えてFAで広島から丸を獲得した状況から、柔軟な考えを持つ指揮官がここにヒントを得たのも自然な流れと言える。
「やっぱり丸と坂本という選手をどう生かしていくか。そこが打線のポイントだと思いました。今年のジャイアンツは初回に2点を取りに行く。そう考えたときに、無死一塁から送りバントという作戦が、果たしてあるだろうか、とね。その中で丸、坂本という並びもあるし、坂本、丸という並びもある。いずれにしても、二番に彼らを置くことで、こちらの意思(初回に2点を取りに行くこと)を選手たちにはっきりと示してきたつもり」
沖縄での春季キャンプ中、そう考えを話してくれた原監督は、キャンプ、オープン戦を通じて最善の並びを模索。序盤は二番・丸、三番・坂本勇で固定したが、3月10日の
阪神戦(甲子園)で二番・坂本勇、三番・丸を初めてテストすると、以降はこの形で落ち着いた。この間、チームはMLB開幕シリーズのために来日していたシアトル・マリナーズとのプレシーズンゲームを2試合戦い、ここで坂本勇の二番起用を最終決断したと考えられる。
17日、18日(ともに東京ドーム)で行われたプレシーズンマッチでは、昨秋の日米野球でも来日していたマリナーズの二番・ハニガーが2試合連続本塁打。これを目の当たりにした指揮官は「相手の二番打者は私が見る限り一番いい打者という気がしました。そういう意味ではチーム構成的なものもマリナーズと(ジャイアンツは)似ていると感じました」とコメント。17日の同戦では同じ右打者の坂本勇が本塁打を含む3安打3打点を記録する活躍を見せていた。
丸ではなく、坂本を二番に置くことで一番・吉川尚から四番の岡本まで左右ジグザグに組めるというメリットもある。「二番打者最強説」成功のカギは一番を打つ吉川尚(23日時点でオープン戦打率、出塁率ともに.282)にあるが、「勇人に並ぶスーパースターになれる」と指揮官はこれにも自信を見せる。
激励会の翌日、
ロッテとのオープン戦(東京ドーム)の前に行われたトークショーに登壇した原監督は、坂本勇、丸の並びについて「一番分かりやすく言うならば、三番バッターが2人いる、ということですね。勇人が先陣を切って、そして丸がその後ろに控えているということ」と意図を説明した。果たして、新打線は新指揮官の思惑どおりに機能するだろうか。まずは29日の開幕戦に注目したい。
文=坂本 匠 写真=BBM