昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中(平日のみ)。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 西鉄ファン大暴れ
今回は『1966年8月1日号』。定価は60円だ。
開幕から10連勝の巨人・
堀内恒夫が連続写真なども掲載し、大特集となっていた。
他球団からの声も紹介されていた。
中日の
西沢道夫監督は言う。
「堀内のスピードはほかの人よりはるかに速い。漫然と打っては打てないに決まっている」
球種はストレートとカーブだけ。
ただ、大洋のベテラン捕手・
土井淳は「最初はカーブは制球に自信がなかったようだが、今は自信を持ってカウントの悪いときも投げてくる。ピッチングに幅が出てきて、ちょっと打てないな。速球とカーブのスピードが極端に違うからタイミングを合わせるのが難しい」と言っていた。
一方で、かつての大エース・
金田正一の凋落が止まらない。7月14日の
広島戦でわずか24球でKO。試合後、茫然とした様子で「だめだ。ワシはもう立ち直れん」と話した。
西鉄が久々に好調。首位南海に僅差で迫る。7月12日からの小倉2戦、14日の平和台1戦の南海戦はいずれも大観衆が集まった。
ただ、勝てば涙を流さんばかりに喜び、お祭り騒ぎになるのだが、負けると荒っぽくなるのが西鉄ファン。
特にもたもたの展開となり、最終的には敗戦となった13日の試合はひどかった。
かわいさあまってなのか、西鉄ナインに対する怒号が球場を包み、空きビン、空き缶が次々投げ込まれ、乱入者も出始めた。
再三の「物を投げないでください」というアナウンスも効き目なし。ついには機動隊50人が出動する騒ぎとなった。
いつもは温厚な西鉄・
中西太監督もさすがに怒り心頭。
「負けたのは私の責任や。だけど、きょうのお客はなんじゃ。傍目にはどう見えたかしらんが、こっちは一生懸命やっとるんだ。きたないヤジや物を投げたりされて、若い選手が委縮してしまうじゃないか」
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM