週刊ベースボールONLINE

平成プロ野球史

セは巨人が大独走で史上最速の優勝、パはトルネード旋風が吹き荒れる!/平成プロ野球史(2年/1990年編)

 

 新元号「令和」が発表され、平成のカウントダウンが加速している。
 今回からシリーズで平成元年の1989年から2018年まで、年度別にMVP、ベストナインを選んでみた。
 この手の企画では、いつも書いているのだが、あくまで編集部選定。異論反論は多いと思うが、ご容赦いただきたい。

日本シリーズでは西武が圧勝


あまりにも強かった西武


1990年(平成2年)順位表
セ(1巨人2広島3大洋4中日5ヤクルト6阪神
パ(1西武2オリックス3近鉄4日本ハム5ロッテ6ダイエー)
※日本一は西武

 平成2年、1990年(以下、基本的に西暦表記)は、その前年秋のドラフトで史上最多8球団の1位指名を受けた男が主役になる。近鉄の野茂英雄だ。いきなり18勝を挙げ、先発投手タイトルを総なめにした。ほかにも新人の大豊作年で中日の剛速球右腕・与田剛、シンカー武器に7勝を挙げた西武・潮崎哲也、広島で17試合連続SPの佐々岡真司をはじめ、大洋・佐々木主浩、ロッテ・小宮山悟、ヤクルト・古田敦也らがプロ入りしている。

 セはとにかく巨人が強かった。支えたのは先発投手。2年連続20勝の斎藤雅樹を筆頭に10勝投手5人、完投はなんと70。9月8日のヤクルト戦で2対2から吉村禎章のサヨナラホームランによる劇的な優勝決定だった。

 パも西武が独走。さらに日本シリーズでは巨人を怒とうの4タテで日本一となった。巨人の選手会長・岡崎郁が「野球観が変わった」と呆然と語ったほど、力の差を見せつけての勝利だった。

MVPは近鉄・野茂英雄


これまでの常識を破壊するインパクトがあった


本誌選定MVP
野茂英雄(近鉄)
驚異の奪三振率10.99

 独特のトルネード投法から投げ込む剛速球と落差の大きなフォークで一世を風靡した。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率と先発タイトルを独占。新人王、ベストナイン、パ・リーグ初の沢村賞(前年からパも対象に)、さらには優勝チームでないにもかかわらず、MVPにも輝いている。「ドクターK」とも呼ばれ、奪三振率も10.99を誇った。

ベストナイン
[先発投手]
野茂英雄(近鉄)     
29試合18勝8敗0S、防御率2.91

[抑え投手]
与田 剛(中日)     
50試合4勝5敗31S、防御率3.26
150キロ台後半の剛速球を武器に最優秀救援投手に

[捕手]
伊東勤(西武)     
119試合103安打11本塁打43打点4盗塁、打率.281
粒ぞろいの投手陣をしっかりリード。打撃もよかった

[一塁手]
落合博満(中日)     
131試合133安打34本塁打102打点3盗塁、打率.290
セ移籍後初のホームラン王、2年連続打点王

[二塁手]
高木豊(大洋)
118試合131安打10本塁打55打点13盗塁、打率.323
打率はチームメートのパチョレックに3厘差で首位打者逃す

[三塁手]
松永浩美(オリックス)
128試合147安打21本塁打70打点26盗塁、打率.284  
打率は3年ぶりに3割を切ったが出塁率は高く3年連続得点王

[遊撃手]
池山隆寛(ヤクルト)    
130試合152安打31本塁打97打点11盗塁、打率.303
3年連続30本超えのホームランに加え、打点、打率も自己最高

[外野手]
パチョレック(大洋)    
133試合172安打17本塁打94打点3盗塁、打率.326
前年2位で逃した首位打者に。打点も94で五番打者の役割果たす

西村徳文(ロッテ)
117試合148安打3本塁打38打点35盗塁、打率.338
5年連続盗塁王はかなわなかったが、自身2度目の3割で初の首位打者

秋山幸二(西武)      
130試合122安打35本塁打91打点51盗塁、打率.256
51盗塁で初の盗塁王。30本塁打以上、50盗塁以上は日本球界初

[指名打者]
デストラーデ(西武)
130試合125安打42本塁打106打点10盗塁、打率.263
五番に定着し本塁打王、打点王の2冠に輝く

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング