4月5日のロッテ戦で、9回129球を投げ切った千賀
104球。4月5日のロッテ戦(ヤフオクドーム)に先発した
ソフトバンク・
千賀滉大が7回を投げ終えた。6回二死一、二塁の一打勝ち越しのピンチを乗り越え、7回は三者凡退。とはいえ、ここまでか……。
しかし、千賀は8回のマウンドに向かった。そして、9回も。9回は二死二塁で再び一打勝ち越しの場面を迎えたが、代打・
井上晴哉からフォークで空振り三振を奪い、グラブをたたいた。129球。初回、4回、5回に1点ずつ、3失点はしたが、まさに気迫のこもった投球だった。
開幕前、千賀は語っていた。「去年と今年ではまったく違う心境で、オフから過ごしてきました。『チームの中心となってやっていくんだ』という自覚を持ってやっています」。
いまや常勝軍団となったソフトバンク。だが、いつしか“エース”と呼ばれる存在はいなくなっていた。ホークスOBからも先発投手陣に対する奮起の声が聞かれる中、千賀滉大にかかる期待は大きい。今季こそその期待に応えたい――。千賀はこれまで以上に強い思いを持って3月29日を迎えた。
『強く』
2019年シーズンへの意気込みとして、千賀が色紙に記した言葉だ。
「言葉のとおり『体を強くする』『心を強くする』という意味もありますけど、やはりチームの中心に立ちたいと思うのであれば周りにも認めてもらわないといけない。マウンド上の姿勢もそうですし、あらゆる面で強い気持ちを前面に押し出すということが周りに対する示し方かなと思います」
5日の投球は、千賀の強い気持ちがいつにも増して前面に出ていたし、マウンド上の姿勢は見る者を熱くした。力投が勝利につながらなかったのは残念でならないが、シーズンはまだ始まったばかりだ。千賀はこれからも“強く”あり続ける。
文=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭