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高井事件の続報/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

野村克也、プロ初の犠打は失敗


表紙は巨人川上哲治監督



 今回は『1966年10月3日号』。定価は60円だ。

 巨人のマジックが1ケタになり、優勝へのカウントダウンが始まった。

 巻頭記事では、その優勝についてグラウンド以外の要因を特集している。

 マスコミのデマとしか言えない記事を防ぐため、球界で初めて顧問弁護士を雇ったり、新人・堀内恒夫を勘違いさせてはならぬ、と勝手な連れ出しや女優との対談を禁止させるなどしたようだ。
 
 いい悪いはともかく、プロ野球とマスコミの関係が変わりつつある時代だ。

 第一次ドラフトでの高井諭の事件について続報があった。

 この件は、本来希望者名簿にリストアップされていなかった名商大の3年生・高井だが、9月5日のドラフト会議の席上、中日から「大学を中退するから指名したい」と緊急動議があった。

 このような場合、12球団の希望球団で抽選することになっており、このときは中日、大洋が希望。中日は交渉権を得た。

 しかし、地元の新聞記者が高井に指名の感想を聞いたところ、「僕は中退なんかしてないですよ」となった。

 その後、中日が「勘違いだった」と陳謝。交渉権は取り消しになり、中日は担当の柴田スカウトを減俸処分。これで一件落着のはず、だったが、アマ側が柴田スカウトが柳川事件、門岡事件にも関係していたことから態度を硬化。プロ側コミッショナー発表で、柴田スカウトのスカウト業を1年停止した。

 実際、これは勘違いではなく、高井にプロ入りの意思ありというウワサを聞いた中日が、それならばと、強引に既成事実をつくり、そこから本人を説得と思っていたらしい。

 首位を走る南海の四番・野村克也がプロ入り初めて送りバントをしたという記事があった。西鉄戦無死一、二塁の場面だったが、ボールは投手・稲尾和久の前に転がり、二走のハドリが三封で失敗。翌日の新聞には「野村、消極的なバント」と記事がデカデカ。

 実はそれ以前、野村はこんなことを言っていた。
「だいたいマスコミというのは巨人一辺倒すぎるで。長嶋が送りバントをやっただけで、やいのやいのと書きたてる。うちは首位を走っているのに、いつも粗末な扱いや。ひとつどんな扱いになるか、ワシも送りバントをやったろか」

 まあ、初とはいうが、公式記録ではすでに11犠打したことになっている。
 おおらかな時代である。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

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