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週刊ベースボール60周年記念企画

川上哲治監督のこだわり/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

いつも「野村さんのおかげです」


表紙は巨人長嶋茂雄



 今回は『1966年10月10日号』。定価は60円だ。

 1966年9月23日、阪神戦(後楽園)のダブルヘッダー第1試合に勝利し、巨人の連覇が決まった。

 ただ、川上哲治監督は宙を舞うというより、選手の手の上で転がった。重すぎるのと、選手があまりに密集し、押し合ったためらしい(本人はそんなもので選手が手首を痛めたら大変。胴上げなんてなくてもいいんです、と話していた)。
 
 その後、川上監督は、勝利者インタビューで「チームの和の勝利です」と甲高い声で喜びを語った。

 胴上げ投手は2対0の8回一死から登板した金田正一。思うようなシーズンを送れなかった金田に対する温情か、との記者の質問に川上監督は、
「僕はそういうことのできる男ではないし、大嫌いだ」
 と答えた。

 実際、この試合の先発だった若手左腕の高橋一三は、前々日の広島戦で3回途中KOされていた。ふつうであれば、城之内邦雄堀内恒夫が先発。高橋一を投げさせたのは、阪神先発が村山実で濃厚とあって、「無理をせず」と思ったのではないか。

 股関節の故障で療養中の広岡達朗は祝賀会にも姿を見せず、どうやら同年限りの引退が濃厚となっていた。

 一方、パ・リーグはいまだ南海の西鉄のデッドヒートが続く。
 辛うじてだが首位を行く南海の打の主役は、野村克也。そして投の主役が渡辺泰輔だ。決め球のパームボールを駆使し、シーズン後半に勝ち星を伸ばしていた。
 性格は、とにかくまじめ。ただ、それがマスコミには物足りない。
「いつ話を聞いても同じ。野村さんのおかげ、としか言わん。テープレコーダーを聞いとるようなもんや」
 ただ、このチームには、いつも見出しになりやすい話をしてくれる。野村がいる。したがって渡辺が好投で勝っても、なぜか野村の周囲に報道陣が群がる珍現象となっていた。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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