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ロッテを悩ませる「一番」問題の解答は結局この男

 

荻野は再びカモメ打線の不動の斬り込み役に返り咲けるか


 候補者は数多くいるのに、誰もピタリとはまらない。長年、ロッテを悩ませる「一番打者」問題だ。

「一番・中堅」で今季の開幕スタメンに名を連ねたのは黄金ルーキーの藤原恭大だった。楽天との開幕戦(ZOZOマリン)でさっそく安打を放ち、以降も3試合で一番を任されたが、計6試合出場で19打数2安打、打率.105とプロの壁は厚く。4月7日に一軍登録を抹消された。

 開幕前はオープン戦を含む実戦で快音を響かせていた岡大海も9試合出場で18打数無安打。二軍戦で打率4割超えと当たりまくり、4月7日に昇格した菅野剛士も3試合で一番に配されながら11打数無安打。いずれも二軍落ちを余儀なくされている。

 4月14日の日本ハム戦(札幌ドーム)では開幕から不動の“攻撃的”二番として好調を保っていた加藤翔平が斬り込み役を託されたが、4打数ノーヒットと機能せず。開幕直後は猛威を振るっていたカモメ打線全体が沈滞傾向にある中で、着火点となるべき一番打者が機能しない、それ以前に固定できないでいる。

 そもそも、なぜロッテが一番打者に頭を悩ませるのか。それは毎年のように首脳陣が“ある男”に期待を懸け、結果的にその男が期待を裏切る形になり続けているからでもある。荻野貴司だ。

 言わずと知れた“千葉の韋駄天”。クルリと体を回転させながら短く持ったバットで鋭く打球を弾き返し、塁に出れば高い確率で次の塁を陥れる。通算174盗塁を重ね、成功率は.866とハイアベレージを誇っている。

 期待を裏切ってきたのはバットでも足でもない、度重なるケガによる途中離脱だ。昨季も開幕から不動の一番として78試合出場で打率.287、20盗塁と打線をけん引していたが、投球を右手指に受けて骨折。プロ9年目のシーズンが終了してしまった。

 今季はオープン戦で打撃不振に陥り、ケガではなく実力で開幕スタメンを逃した。それでも4月16日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では今季3試合目となる「一番」での先発出場を果たし、3打数1安打。大きなインパクトを残したわけではないが、フル出場で6対0の勝利に貢献している。

 斬り込み役が定まらぬ中、再び荻野に「一番」としてのチャンスが巡ってくるのは必然だっただろう。プロ10年目、今年で34歳を迎える。とても“新風”とは呼べない。だが、新しくなくてもいい、とにかくカモメ打線に“風”を吹かせてほしい。その力はまだ十分にあるはずだ。

文=杉浦多夢 写真=BBM
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